
ユーリックホーム本社西隣の
常設住宅展示場「住まいのゲストコート ユーリックタウン」
=高松市木太町
“良い土地”を仕入れる力

地域貢献活動「つなぐ和かがわプロジェクト」として
分譲地近隣の子どもたちに知育玩具などを寄贈
住宅には、耐久性や耐震性に優れる「ツーバイフォー工法」を採用し、年間40~50棟を県内で建築。ライフスタイルの変化などに合わせて間取りを変えられる「Match+(マッチプラス)」や、約100種類のモデルプランからデザインや間取りを選べる「楽家(らくいえ)」など、オリジナリティーに富んだ商品で、子育て世代を中心に人気を集める。天野さんは「今はどの住宅メーカーも拮抗していて、機能や性能での差別化が難しい」と話しながらも、「でも、そこに“分譲屋”の強みがある。私たちの武器は、家と土地を一緒に売ること。『ここに住みたい』と思ってもらえるような“良い土地”を目利きし、仕入れる力には自信を持っています」
不動産業者との連携を密にするのはもちろん、あらゆる会合に出席して人脈をつくり、アンテナを張る。候補地が見つかれば、地盤や地質、駅・スーパー・学校などの位置を徹底的に吟味する。そして、実際にその場に立って目を閉じる。「ここを開発すればどんな街が生まれるのか、想像してみるんです」。分譲地をつくるごとに、その地域にある小学校や幼稚園を訪ね、知育玩具などを寄贈する。「子どもたちがキラキラした瞳で声をそろえて『ありがとう』って言ってくれるんです。これはたまらないですよ」。天野さんは笑顔で続ける。「私たちが商売を続けられるのは“土地”があるから。地域への感謝の気持ちは絶対に忘れてはいけないと、自分にも社員にも言い聞かせています」
ユーリックホームだから

モデルハウスの数は県内最多を誇る
出身は大分県。高校卒業後、食品会社、不動産仲介会社勤務などを経て、広島のマンションディベロッパー・株式会社マリモに入社した。転機は2015年。業歴30年を誇るユーリックホームがマリモグループの一員になった。「高松で住宅分譲会社の社長をやってくれないか」。マリモの代表に声をかけられ、香川にやって来た。
「最初は大変でした……」。社員や事業をほぼそのまま引き継いだものの、社員も取引先も大いに戸惑っていた。それまで香川を訪れたのは、旅行でうどんを食べに来た程度で、知り合いもいない。つらい時期が続いた。「会社では“飾り物”のような存在でした」
まずは自分の車のナンバーを「広島」から「香川」に変えた。積極的なコミュニケーションを心がけ、3年前には高松市内に自宅を建てた。少しずつ社内の雰囲気が変化していくのを感じた。「『ずっと香川にいてくれるんだ』と思ってもらえたんでしょうかね」。苦笑いしながら続ける。「私はいわゆる“雇われ社長”。ですが、ユーリックホームだからこそ香川に来ることを決意したんです」
ユーリックホームは元々、建築デザインに定評があった。「ツーバイフォー」も長年こだわり続けてきた工法だ。「変えるべきところは変えるが、守るべきところはしっかりと守る。経営者が変わったからといって、良いところをゼロにする気は全くない」と天野さんは口調を強める。
街なかに子どもたちの声を

いつも頭をよぎるのは、「『家が売れなかったらどうしよう』ではなく、『土地を仕入れられなかったらどうしよう』です」。裏を返せば「仕入れさえできれば売れる」ということになる。「営業で試されるのは“人間力”。お客様の暮らしを思い、地域を思い、常に工夫する。いかにして『あなたから家を買いたい』と思ってもらえるか。社員らの人間力が徐々に養われてきたと頼もしく思っています」
“ヨソモノ”の自分を受け入れ、支えてくれる社員たちに「これからは恩返しをしていきたい」と話す。その一つが「ポスト」。支店を開設すれば、「支店長」などのポストが生まれる。「会社が拡大していかないと、社員も夢を持てません。やりがいや励みに繋がるよう、少しずつでも成長戦略を描いていきたいと思っています」
篠原 正樹
天野 浩介|あまの こうすけ
- 略歴
- 1968年 大分県出身
1987年 別府商業高校 卒業
食品会社、不動産仲介会社勤務などを経て
2005年 株式会社マリモ 入社
2015年 株式会社ユーリックホーム
代表取締役社長
株式会社 ユーリックホーム
- 住所
- 香川県高松市木太町3841-5
- 代表電話番号
- 087-867-9336
- 事業内容
- 不動産業/不動産賃貸・仲介、売買
建設業/注文住宅、分譲建売住宅の販売 - 関連会社
- 株式会社マリモホールディングス
- 地図
- 確認日
- 2021.03.04
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