新たな感染拡大で「まん延防止等重点措置」の対象地域が広がっている。コロナ禍の収束まで長引くと、冬の賞与(一時金)や来春の賃上げにも悪影響が及びかねない。中小企業の業績回復が遅れるなか、可処分所得の下落で消費マインドが冷え込み、小売業や卸売業、製造業の業績悪化を誘発する負のスパイラルに陥りかねない。中小企業は、業績と賃上げの狭間で苦悩が続く。
※2021年4月1日~12日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答8,235社を集計、分析した。
※賃上げの実態を把握するため、「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。
※資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。
Q1.今年度、賃上げを実施しますか?(択一回答)
規模別では、「実施する」は大企業が74.1%に対し、中小企業は64.8%で、10ポイント近い差がついた。産業別では、「実施する」の割合が最も高かったのは、製造業で71.9%だった。以下、建設業67.4%、卸売業66.9%と続く。最低は、不動産業の46.2%。
Q2. 「賃上げ」の内容は?(複数回答)
Q3.賃上げ率(%)はどの程度ですか?
「50%以上」は8.2%だったが、2020年度実績は0.7%だった。この差は、コロナ禍で賞与(一時金)などの賃金を大幅に削減した企業が、支給水準を戻した結果とみられる。中央値は、全企業で2.1%、大企業で2.0%、中小企業で2.3%だった。
コロナ禍での各種支援策の副作用で過剰債務に陥った企業と、財務余力を残した企業の差が鮮明になりつつある。無理した賃上げは体力を余計に削ぎかねず、賃上げの状況を見守ることが必要だ。
東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 立花正伸
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