
一度、外の世界に身を置いたからこそ見えることもある。実家に帰り、まず感じたのは業界の基準と消費者のニーズとのギャップだった。「職人が技を競い見事な枝ぶりに仕上げる大きな盆栽、そういう伝統も大切です。でも、一般のお客様が買うならそんな商品は置く場所もないし、手入れもできないと思います」。現在、盆栽はブームで世界的にも注目されている。その人気のすそ野を広げているのが、小さくおしゃれで、インテリアとしても取り入れやすい商品だ。
そこで、新たな商品開発に取りかかる。「モノを作るだけではなく販路も開拓する。モノ、人、お金の流れを見直し新たな仕組みづくりを目指しました」

盆栽の生産技術」という地域資源を
活用した「Jubon」
簡単な手入れですむ秘密は「根の処理」にある。通常、小さい盆栽は土が少ないため保水力が弱く頻繁に水やりが必要だった。そこで、根全体が土の外側を包み込む形になるよう、成長を予測して根切りする。そうすることで、必要以上に水が器から流れ出ないようになり、水やりの回数を減らすことができた。また、木の性質を見抜き一つひとつ土の配合を変え、根の成長に合わせて鉢底の穴の位置も変えている。「代々受け継いだ職人の技があるからできた商品。技術を目に見えない鉢の中に生かした点が特徴です」

対面販売を中心に商品のよさを伝える
編集長補佐 石川 恭子
樋上 勝敏 | ひのうえ かつとし
- 1978年 7月 高松市生まれ
2008年12月 東京のコンサルティング会社 入社
2015年 6月 有限会社樋上松楽園相談役 就任
2016年 4月 株式会社ひのうえ松楽園事業統括・相談役 就任
- 写真
株式会社ひのうえ松楽園
- 住所
- 高松市鬼無町山口471-1
TEL:087-813-1967 - 事業の概要
- 盆栽製品の生産、加工、販売
鉢物植物商材の企画・開発、コンサルティング - 設立
- 2016年4月
- 認定
- 四国経済産業局
「平成28年度地域産業資源活用事業」認定 - 地図
- URL
- http://jubon.jp/
- 確認日
- 2018.01.04
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