四国地区「BCP及びDX関連アンケート」調査

東京商工リサーチ

Research

2021.09.02

自然災害、戦争・テロ、更には新型コロナウイルスのような感染症など、不測の事態が発生した際においても事業を継続、或いは短期間で再開させるための計画である「事業継続計画(BCP)」の策定に対する重要性が年々高まっている。

そのような中、経済産業省のDX(デジタルトランスフォーメーション)ガイドラインにより、「DXは企業を存続させ、競争上の優位を確立する有効な手段」と捉える企業が増えてきており、これをBCP対策に活用しようとする気運も高まっている。

東京商工リサーチ高松支社は、BCP及びDXについてその現状と課題を明らかにするため、当アンケート調査を実施した。

※2021年4月13日~4月27日に、四国内に本社或いは事業所を有する企業に対してインターネットによるアンケート調査を実施、有効回答331社を集計、分析した。

BCPの取り組み状況は

「既に策定済み」が最も多く、29.9%(99社)。次に多かったのが「これから検討する予定」24.8%(82社)で、「策定に向けて準備を進めている・検討中」17.8%(59社)を含めた72.5%(240社)が、既に策定済か、今後策定する予定であると答えた。

一方、「検討予定はない」21.8%(72社)、「回答できない」5.7%(19社)だった。

デジタル化・DXは

「検討を予定している」が25.8%(77社)と最も多かったが、「検討予定はないが」23.2%(69社)、「対応に向けて準備を進めている・検討中」と「⑤わからない・回答できない」がそれぞれ20.8%(62社)と、答えが分かれた。

一方、「既に対応している」は9.4%(28社)と最も少なかった。
BCPとは大型台風や地震、津波といった自然災害への対策だけではない。2020年初頭より猛威を振るっている新型コロナウイルスによって、感染症が如何に恐ろしく、いとも簡単に経済活動が麻痺してしまう事を認識させられた。また近年では企業や官公庁を標的としたサイバー攻撃が後を絶たず、新型コロナウイルス感染拡大以降にはテレワークを狙った攻撃も多発している。このような事業継続を妨げる様々なリスクに対して備えるものである。

BCP、デジタル化・DXに関する課題を問うと、双方「補助金」等の資金援助の必要性を挙げる企業が目立った。今後は、既にある制度の周知徹底と更なる充実が求められよう。またデジタル化・DXでは「人材不足」や「意識向上・改革」の必要性を訴える声が散見された。これらの課題は小規模な企業にとって独力では解決が難しく、経済的・人的余裕のない企業が無理なく計画を策定でき、また策定したものが陳腐化しないよう、定期的な見直しができるような指導・支援の仕組み、サポートシステムの強化が求められる。そしてそれを実現するには、公の機関や団体、経験豊富な大企業による助力が必要不可欠だ。そうする事が危機管理意識を高め、新たなシステムの構築によって地域社会の安泰が担保されて、国全体の発展の礎となっていくだろう。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 有馬知樹

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