食生活変わり需要低迷の時代 ドレッシング開発し生き残り

中橋造酢株式会社 代表取締役 中橋 康一さん

Interview

2012.07.05

米酢 中橋造酢株式会社

ライフスタイルが大きく変わり、家庭の台所や食卓に必ずお酢がある時代ではなくなりました。昔ながらの米酢を生産するメーカーはどのようにして生き残ろうとしているのでしょうか。香川県下でわずか2社になった米酢のひとつ「仁尾酢」醸造元の中橋造酢では付加価値をつけるため地元特産のフルーツを漬け込んだ「DE酢」シリーズを開発、米酢の新たな市場に挑戦しています。
▲「DE酢」シリーズ

▲「DE酢」シリーズ

米酢の需要低迷について中橋造酢代表取締役の中橋康一さん(48)は「共働きでお酢を使った料理を食卓に出す家庭は少なくなる一方なんです」と説明する。野菜にかけたら簡単に味がつく例えばマヨネーズなどが酢のライバルだ。出来合いのサラダ・ドレッシングに使われている酢も安価な工場で大量生産しているものが素材だ。
おコメを洗って蒸す段階からすべて手作り。中橋さんが「お酢の菌」と呼ぶ微生物酢酸菌を使う。3カ月かけて発酵させたものを約1年熟成させて造る米酢は消費者に買われることは少なくなった。

中橋さんは思案に思案を重ねた結果、開発したのが「DE酢」シリーズ。最初の年は仁尾酢に8種類の果物を漬け込んだ。2年目も別の8種類。3年目の今年はさらに4種類。合わせて20種類の「DE酢」が発売された。「梅DE酢」「苺DE酢」「枇杷DE酢」「桃DE酢」「文旦DE酢」「八朔DE酢」・・・・・・果物は全部、三豊市周辺産だ。
江戸時代中期、寛保元年(1741年)に初代中橋仁右衛門が丸亀の京極藩主に命じられて現在の三豊市仁尾町の「仁尾酢」をつくり始めて11代目の康一さんは米酢の新しい可能性にかけてみようとしている。インターネット経由の販売は右肩上がりになってきた。この時代の健康志向、本もの志向とも「DE酢」シリーズの相性はいい。

「DE酢」の味にはまっている女性も出始めている。「ドレッシングが嫌いだから、今までサラダを食べなかったのに、DE酢のおかげでサラダが好きになった」とか、季節のフルーツごとに売り出される「DE酢」をそろえ「毎日いろんな味を楽しんでいる」といった反響が事務所のパソコンに飛んでくるようになっている。「仁尾酢」の通常の販売先は香川県を中心とした地域だが、こちらは全国各地から注文がくる。
▲「酢ーぱいジャム」

▲「酢ーぱいジャム」

「DE酢」というフランス語風ネーミングを考えたのは中橋さんの妻登美子さん(47)。「フルーツとお酢。頭の中にふと浮かんで」。名付けに際して深い理由はないそうだ。「DE酢」にした果実素材で「酢ーぱいジャム」もつくり販売している。伝統産業を重くとらえるのではなく、「朝食のとき、生野菜にパッとかけて召し上がってもらえたら」(登美子さん)くらいの感じで新しい米酢市場を掘り起こす。肩ひじを張らないのが現代的だ。米酢が毎日の食卓で復権する日は近いのかもしれない。

中橋 康一 | なかはし こういち

中橋造酢株式会社

住所
香川県三豊市仁尾町仁尾丁944
代表電話番号
0875-82-2802
創業
寛保元年(1741年)
地図
URL
http://ww8.tiki.ne.jp/~k-naka/nio-su.htm
確認日
2012.07.05

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