30歳で塚田木材に入社。現場の仕事を覚えるために昼間は工場で作業を手伝い、夜はパソコンに向かった。伝票を1枚1枚繰って、事業の流れと顧客を把握した。従来通り、丸太を仕入れてカットし販売するだけでは生き残っていけない。
家具を作ろうか、塗料メーカーと協力してセット商品を売れないか・・・いろいろ考えた。その中で事業化までこぎ着けたのが古材の販売だった。デザイン性の高い木材として、これまでとは違う見せ方ができると考えたのだ。
古民家の解体を手伝い、古材を買い取るところから始めた。古材の製材や加工は誰もやりたがらないことだった。中に釘や石が入り込んでいる可能性があり、機械の故障を招くからだ。「たくさん失敗しましたが、誰もやらないからこそ仕事になるんだと思います」
今は日本国内だけでなく、アメリカやカナダからも仕入れる。清潔感のある古材に仕上げることに力を注ぐ。金属探知機で異物を調べ、高圧のエアブラシで丁寧にクリーニングする。
曲がりくねっているのがいい、ぼろぼろのデッキ材が欲しい、穴がたくさん開いたものはないか。顧客のニーズは様々で用途も広い。飲食店や美容室、洋服店に使われることが多く、最近ではリノベーションの流れも手伝って、住宅にも取り入れられるようになった。顧客の8割が県外だ。
ある時、京都の古民家から出たケヤキの柱をカウンターに仕立てた。それが大手コーヒー店に採用された。以来、全国の店舗で塚田木材のカウンターが使われている。「古材はヴィンテージジーンズと同じで、年数を経てできるもの。時間が経たないと手に入らないものが今買えるって、面白いですよね」
「従来の製材所の仕事と古材、ハードウッドデッキの合わせ技でうまくいっています。これまで会社を守ってくれた先代に感謝です」。今後、県内の製材所や木工所ともチームを組んでみたい。香川の技術が結晶したものづくりで日本全国、世界へ打って出たいと闘志を燃やす。
副編集長 鎌田 佳子
塚田 浩之 | つかだ ひろゆき
- 1971年11月 坂出市生まれ
1994年 3月 大阪大学工学部 卒業
1994年 4月 兼松株式会社 入社
2002年 8月 塚田木材株式会社 入社
専務取締役 就任
- 写真
塚田木材株式会社
- 本社
- 坂出市富士見町一丁目2番19号
TEL:0877-46-2775 - 事業概要
- 木材製品の製造・販売・輸入
- 資本金
- 9,000万円
- 社員数
- 8名
- 地図
- URL
- http://tsukamoku.co.jp/
- 確認日
- 2018.01.04
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