「勝利の鐘」鳴らす歌声

シンガーソングライター 藤岡 友香さん

Interview

2016.05.05

歌声はスタジアムに人々の心に力強く響く。三豊市出身のシンガーソングライター藤岡友香さん(32)が歌う『勝利の鐘』は、2016シーズンのカマタマーレ讃岐公認応援ソングだ。「スタジアムで歌うために作った曲なのでとてもうれしい」。3月26日、カマタマーレ讃岐のホーム戦が開催されたPikaraスタジアム(県立丸亀競技場)で初めて歌った。

「選手とサポーターが一体となって勝利を目指そうという曲にしたくて。この曲をきっかけに試合に来てくれる人が増えたらいいなと思います」。曲を作る前に試合を観戦し、サポーターの存在の大きさを感じた。支えてくれる人がいるから頑張れる。選手の姿が自分と重なった。『勝利の鐘』を歌うと自分も元気になれると言う。
歌手になると決めたのは小学4年の時。音楽教室の講師だった母と、ギターを趣味とする父の影響で、子どものころから音楽は身近だった。「両親の洋楽CDばかり聴いていました。英語は分からないけれど歌いたいので『耳コピ』していましたね」。英語の歌詞をカタカナで書き出して覚えて歌っていた。

本格的に歌の勉強を始めたのは、高校卒業後に渡米してから。メリーランド州立大学声楽科で基礎から学んだ。とにかく上手くなりたくて、学校が閉まるぎりぎりの時間まで発声練習した。「新しい場所に飛び込んでいくのが好きなので、アメリカでの生活もつらくはありませんでした。歌の課題を練習して、クリアした時の達成感は爽快でしたね」

大学卒業を機に7年過ごしたアメリカから帰国。1カ月後にテレビ番組への出演が決まった。オーディション番組で2000人の中から選ばれて優勝し、CDデビューまで順調だと思っていた。「でも人生そんな甘くなかったですね」。しばらくは香川で暮らしながら音楽活動を続けたが、さらなるレベルアップを目指して上京を決めた。

上京から2カ月後、東日本大震災が起きた。4月、知人から一緒に東北へ行って歌おうと誘われた。最初は被災地で歌うことは不謹慎ではないかと考えた。「衣食住がままならない状況で、音楽が役に立つのかなって。『音楽で力を』ってきれいごとみたいな気がして」

訪れたのは仙台市若林区。仙台市南東部で、津波によって甚大な被害のあったまちだ。仮設住宅もまだなく、住民は避難所での生活を余儀なくされていた頃だった。仙台で歌うために『Don't Give Up!~命がある限り~』を作った。「歌った後、住民の方がこういう時だからこそ音楽が励みになると言ってくださったんです。歌を通していろんなメッセージをこれからも届けていきたいなと思えました」

被災地のために書いたこの曲が、東京で開催される神宮外苑花火大会のテーマソングに起用された。大会の責任者がたまたま藤岡さんのステージを見たのがきっかけだった。『Don't Give Up!~命がある限り~』は、2011年以降、震災復興チャリティーとなっていた大会にぴったりだと声を掛けられたのだ。
一番好きな曲はマライア・キャリーの『Always Be My Baby』。この曲を聴くと「未来にタイムスリップできる」と言う。子どもの頃から繰り返し聴いて、将来のことを鮮明に想像していたそうだ。

思い描いた未来のうち、実現したものもいくつかある。その一つが自分のラジオ番組を持つことだ。FM香川で4月から週に1度レギュラー放送が始まった。「まだ叶えられていない夢を、これからもどんどん現実にしていきたい。それには歌が上手いだけではだめ。チャンスをつかむために人とどう出会っていくかが大切ですね」

副編集長 鎌田 佳子

藤岡 友香 | ふじおか ともか

1983年 9月 三豊市生まれ
      米国・メリーランド州立大学声楽科を卒業後、日本国内での音楽活動を開始
2012年 2月 オリジナルアルバム『LOVE』発売
2012年 8月 神宮外苑花火大会に出演。オリジナルソング『Don't Give Up!~命がある限り~』が
      テーマソングとして起用
2015年12月 ミニアルバム『This is not a Love Song』発売
      オリジナルソング『勝利の鐘』がカマタマーレ讃岐公認応援ソングに
2016年 4月 FM香川でレギュラー番組『藤原友香の元気はキから』スタート
写真
藤岡 友香 | ふじおか ともか

藤岡 友香 | ふじおか ともか

オフィシャルウェブサイト
http://www.tomokafujioka.com/
Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=6QLsk8EnV6E
確認日
2018.01.04

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