本との出合いを演出!

ジュンク堂書店 高松店 店長 升 怜人さん

Interview

2016.05.05

ジュンク堂書店高松店は昨年10月、瓦町FLAGの開業と同時にオープンした。同書店は、香川県初出店、四国では愛媛県松山市に続く2店舗目だ。升さんは新規開店に携わるのが今回で4店舗目。大学時代のアルバイトから数えると、15年以上書店で働いてきた。高松店で初めて店長を務めている。

子育てに夢中

読書はもともと好きだったが、本そのものよりも書店という空間が好きなのだと言う。「毎日、いろんな分野の新しい本が入ってくるので面白いですね」。入社以来、大阪、京都、札幌の店舗で勤務してきた。

プライベートでも月に4~5冊は本を読むように心掛けている。最近好きなのはノンフィクションだ。「実際に著者が経験したことや調べたことを書いているので、世の中って予想以上にいろんなことがあるんだなと読んでいて楽しいですね」

興味深かったのは高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』と『イスラム飲酒紀行』。「早稲田大学の探検部出身の方で、文章も面白いんですよ。ノンフィクションの本は、若い世代の読者が少ないようなんですが、面白い作品がたくさんあるのでぜひ読んでいただきたいですね」

趣味は札幌時代に始めたロードバイク。だが、今は読書もロードバイクもセーブしている。昨年、長女が生まれたからだ。10カ月になる娘と過ごす時間が何より楽しい。「休日は娘を連れて栗林公園を散歩しています。絵本の読み聞かせもしますね。もう少し大きくなったら、一緒にサイクリングもしてみたいですね」

専門書が強み

ジュンク堂書店の特長の一つが、ジャンル担当制だ。本の分野別に売り場の担当者を決め、その分野のエキスパートを育てる。商品の品ぞろえや配置を考えるだけでなく、仕入れも任される。升さんは理工や医学など専門書のコーナーを担当してきた。「過去の売上や、類似した本がないかを考えて仕入れを決めます。店舗の傾向も大切な情報ですね」。客層が若い店だと、若い世代に好まれる入門書を多めにそろえるといった工夫をする。

売上があまりよくなかった本も、動線上の目立つ場所に置くなどの仕掛けをすると売れるようになることがある。「魅力のある本でも売り方を考えないと売れません。お客様と本との出合いをどう演出するかが重要ですね」

これまでは売り場を任されて棚を触ることが楽しかった。店長になった今は店全体の運営を考えながら、自分が培かってきたノウハウをスタッフに伝え成長していく姿を見るのが楽しい。

心掛けているのは、気づいたら即実行。「単行本で『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』というのがあるくらいなので、実行がビジネスの勘所なんだなと改めて思いましたね」

買いに来たいと思える店に

香川県は、書籍雑誌購入額が人口1人当たり12,300円で全国2位、図書館館外貸出点数が人口100人当たり618点で全国6位(ともに「100の指標からみた香川」より)となっている。

「書店の数も多く身近なぶん、お客様の見る目も厳しいと思います。地域の方によく来ていただけるような棚づくりをしつつ、ジュンク堂書店の強みである専門書を充実させたい。こんな本があるんだと驚いたり、好奇心を刺激したりするような店舗を目指しています」

升 怜人 | ます さとし

略歴
1981年 青森県青森市生まれ
2004年 立命館大学 卒業
     株式会社ジュンク堂書店
    (現・丸善ジュンク堂書店)入社
     大阪本店
2005年 京都BAL店
2008年 札幌店
2010年 MARZEN&ジュンク堂書店 梅田店
2015年 高松店 店長

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