日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

著 小熊 英二/講談社

column

2019.08.01

2年ほど前、経産省若手プロジェクトが作成した「不安な個人、立ちすくむ国家」という文書が話題になりましたが、その中で「正社員になり定年になるまで勤めあげる」という生き方は、昭和の時代でも実は3割にすぎなかったというデータをみて誰もが意外な感じをうけたと思います。

本書によれば日本社会は「大企業型」、「地元型」、「残余型」の三つの類型によってできていると言います。「大企業型」は正社員で収入も多いが、家のローンなど出費も多く地域に足場がないので社会での政治力もない。「地元型」は生涯地元から離れない生き方であり、親から受け継いだ家もあり収入は大企業型に比べると低いが家のローンの心配はない。自治会や町内会との結びつきが強い。経済力では劣るが政治力がある。そしてもう一つの「残余型」は都市部の非正規労働者がその象徴で、所得が低く、地域につながりもない層です。現代の日本の社会で大きな問題になっているのは、この残余型が増えてきたことだと言います。

ところが昭和の時代から正社員の数はあまり変わっていない。総務省の労働力調査によれば、正社員の数は1984年に3333万人、2016年でも3338万人でほとんど変わっていません。非正規労働者はそれが604万人から2013万人に激増しています。これはどこから来たのでしょう。じつは自営業者が減っています。1484万人だった自営業の人達は684万人にまで減っています。全国に広がるシャッター通りの商店街を見れば明らかでしょう。
 
日本社会は大きな地殻変動を起こしているのかも知れません。それは都会で大企業にいるより、地方で暮らしている人の方が強く実感しているはずです。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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