囲碁の「美しさ」が癒やし

四国管区警察局長 谷 直樹さん

Interview

2016.04.07

両親が愛媛県松山市出身で、中学から高校まで松山で暮らした。学生時代に松山の実家へ帰省するため、宇高連絡船に乗ったことを覚えている。「四国をじっくりと回ったことがないので、今回の赴任で初めて訪れる場所も多いですね」

警察、金融、法律…多種多様な仕事を経験

京都大学法学部を卒業。学生が相談を受け付ける法律相談部に所属していた。裁判官や弁護士など法律家を目指す学生に比べて、あまり真面目に活動はしていなかったと笑う。「法律は社会生活を経験して、初めて役割を実感出来るもの。学生時代にはきちんと理解していなかったでしょうね」

警察庁への入庁後、警察大学校などを経て本庁に勤務。捜査一課で捜査事例の検証を担当した。まずは、全国で過去1年間に裁判で無罪判決となった事例を研究。資料をひたすら読んで、傾向をまとめた。

当時は今よりも簡易裁判所や地方裁判所の支部が多くあり、その統廃合にあたっての調査も行った。令状請求や緊急逮捕の過程で不具合がないか、岩手や山口、沖縄など現地に赴いた。

印象的だったのは、預金保険機構での仕事だ。同機構は経営不振となった金融機関に代わって預金の払い戻しに応じたり、破たんした金融機関の処理を行ったりする組織。谷さんは機構設立の準備から携わった。警察とは全く違う業務を経験し「世の中はこんなふうに成り立っているんだ」と感じた。

債権回収会社(サービサー)に関する法律の策定に向けて、警察庁として法務省に協力したことも思い出深い。

趣味は映画と囲碁

休みの日には映画を見る。自宅にはお気に入りの映画DVDを30本ほど置いている。中でも好きなのは『鉄道員』だ。「主人公の職業人としての責任感が伝わってくるところがいいですね。高倉健さんも絵になります」

職場で囲碁や将棋を指す人が多く、面白そうだと30歳から囲碁を始めた。アマチュア3段の腕前だ。美しさが囲碁の面白いところだと言う。「白と黒の碁石が並ぶ様子が、図形としてきれいだなと思う手があるんですよ」。石川県警本部内の囲碁大会で優勝した経験もある。

最近は乗る機会があまりないが、バイク旅行もしてみたい。「夢のまた夢ですが、ユーラシア大陸をバイクで横断して、大陸最西端のポルトガル・ロカ岬に行ってみたいですね」

災害対策にサミット警備

東日本大震災から5年経った今もなお、東北へ職員を派遣している。3月にも四国管区機動隊から130人が派遣された。今後も災害を想定した部隊の訓練、装備に尽力する。

5月の伊勢志摩サミットに先立って、4月末には高松市サンポートでG7香川・高松情報通信大臣会合が開催される。四国管区警察局では、計画的に訓練を実施してきた。「引き続き県警を支援し、警備の万全を期したい」

谷 直樹 | たに なおき

略歴
1959年10月 東京都生まれ
1982年 3月 京都大学法学部 卒業
1982年 4月 警察庁 入庁
1996年 6月 預金保険機構特別業務部次長 兼 指導課長
1999年 8月 兵庫県警刑事部長
2002年 1月 警察庁生活環境課 生活経済対策室長
2006年 7月 警察庁情報技術犯罪対策課長
2007年 8月 石川県警本部長
2008年 8月 関東管区警察局広域調整部長
2010年 3月 警察大学校教務部長
2012年 1月 自動車安全運転センター理事
2016年 1月 四国管区警察局長

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ