①件数は前年度比8件増の38件、過去10年間で6番目
②負債総額は前年度比42億4,900万円増、過去10年間で3番目
③原因別は販売不振が最多、「不況型倒産」は構成比92.1%と高率
④産業別はサービス業他の11件が最多、製造業、建設業と続く
2021年度香川県企業倒産状況(負債総額1,000万円以上、内整理を含む)は、件数38件、負債総額113億1,000万円。件数は前年度比8件増、負債総額は前年比42億4,900万円増だった。過去10年間では件数は17年と同数の6番目、負債総額は3番目だった。
販売不振が29件で最多
7産業で倒産が発生
サービス業他が11件で最多。製造業8件、建設業7件、小売業5件、卸売業と不動産業各3件、情報通信業1件だった。
前年度との比較では、サービス業他が6件、建設業が4件、不動産業が2件、小売業と情報通信業が1件増加した。一方、農・林・漁・鉱業、卸売業、運輸業が各2件減少。8件の製造業、0件の金融・保険業は前年度と同数だった。
香川県内の倒産は小規模を中心とした推移に変わりない。負債額5億円未満は全体の84.2%を占め、また、従業員数は10人未満が76.3%となっており、小・零細企業の倒産が主体であることが定着、今後も同様の傾向で推移するものと見られる。
過剰債務企業は、新たな資金調達は難しい。政府系金融機関の「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」も多くの企業が返済期限を迎えるが、資金繰りが改善していない企業は少なくない。返済開始と同時に、元金据置期間の延長(リスケ)を要請する中小企業も出始めている。TSR調べで、支払利息が営業利益を上回る企業は2021年3月期で34.8%に達する。根源的な「稼ぐ力」を喪失し、リスケ対応でも改善見込みの乏しい企業への対応が注目される。
コロナ禍で中小企業は疲弊感を増し、先行き不透明な企業は倒産や休廃業を決断する時期を迎えており、企業倒産は夏場にかけて緩やかに増勢に転じる可能性も出てきた。
東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 有馬 知樹
おすすめ記事
-
2024.04.18
今期の水準、全産業で前期より4.7ポイント減~第175回中小企業景況調査(2024年1-3月期)四国地域~
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
-
2023.10.05
2023年度計画は、全産業ベース、製造業、非製造業とも二桁の増加
~四国地域 設備投資計画調査~日本政策投資銀行
-
2023.09.07
前年同期比22件の増加、過去10年間で最多
香川県企業倒産状況 2023年上半期(2023年1月~6月)東京商工リサーチ
-
2023.08.03
新設法人数は707社、前年比34社減
2022年「香川県新設法人動向」調査東京商工リサーチ
-
2023.07.06
コロナ禍の企業活動への影響、「すでに収束」は26.5%で前回調査から大きく増加
~ 第27回香川県「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査 ~東京商工リサーチ
-
2023.06.01
コロナ禍の赤字法人率66.1%、10年ぶりの悪化
2022年公表の都道府県別「赤字法人率」調査東京商工リサーチ
-
2023.01.05
“卯年”設立の法人1,510社
最古の法人は設立96年の3社東京商工リサーチ
-
2022.12.01
「もはやコロナ禍ではない」が67.9% 廃業検討率は上昇
第24回香川県「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査東京商工リサーチ
-
2022.10.20
2022年度計画は、製造業が牽引し、全産業では3年ぶりの増加
~四国地域 設備投資計画調査~日本政策投資銀行四国支店
-
2022.10.06
コロナ禍の「影響が継続」は76.5%。前回調査から2.3ポイント増加
第23回「香川県新型コロナウイルスに関するアンケート」調査東京商工リサーチ
-
2022.08.04
企業倒産は12件、負債総額28億7,300万円
香川県企業倒産状況2022年上半期東京商工リサーチ