調査概要
非鉄金属、化学など製造業が四国全体の伸びを牽引
業種別にみると、製造業では非鉄金属、化学および繊維において、脱炭素社会を見据えたEV関連部品に係る能力増強投資や、自社施設内の省エネ投資などの増加による影響もあり全体では大幅増となる。非製造業では、運輸は燃費効率の良い新造船建造や商業施設新設投資などにより、通信・情報は維持更新投資により、サービスは宿泊施設新設により増加することから、全体では4年ぶりの増加となる。

香川県は2年連続の二桁増の計画
製造業は、前年度の大型投資の反動で窯業・土石が減少するものの、製品高度化に向けた工場増設のある化学に加え、工場新設のある電気機械などが増加することから、全体では大幅増(29.5%増)となる。非製造業は、商業施設新設などのある運輸に加え、不動産が増加するものの、前年度から物流関連投資が減少した卸売・小売などの影響により、全体では減少(2.3%減)に転じる。
脱炭素社会を見据えた投資や人流拡大に向けた動きも
脱炭素対応投資では、全体の伸びを牽引している非鉄金属において、EV向けの電池用次世代正極材料を中心とする能力増強投資があるほか、前年度比で減少となった電気機械においても、再エネ型の工場に対応した新設備導入や、次世代電池用部材を製造する工場新設の計画がある。人流拡大に向けては、宿泊施設新設や空港ビル増築工事、また鉄道の駅機能拡充など、観光やビジネスにおける需要回復、人流増加を意識した動きが見られる。感染症の懸念が一掃されたわけではないが、コロナ禍によって長らく停滞していたヒト・モノの動きが再開し、社会経済活動が正常化することは、香川県をはじめとする四国地域の活性化にとっても必要不可欠である。
人的投資の優先度の高まりと今後のリスク
一方で、懸念される材料としては、資源価格などの物価上昇や為替変動に加え、人手不足との回答が多い。これらの要因が設備投資に与える影響について注視していくとともに、その先を見据えたイノベーションやデジタル化など前向きな投資の動向にも注目して参りたい。
株式会社日本政策投資銀行四国支店 企画調査課 副調査役 藤岡 亜希子
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