赤字法人率66.1% 10年ぶりの悪化
赤字法人率はリーマン・ショック後の10年度に75.7%を記録したが、それ以降は9年連続で減少をたどっていた。しかし、19年度末から拡大したコロナ禍の影響で、20年度の赤字法人率はリーマン・ショック直後以来の上昇となった。
ただ、20年度の赤字法人率66.15%は、過去15年では18年度の66.11%に次ぐ3番目の低水準で、コロナ禍の影響と支援策がいずれも本格化した21年度以降の動向が注目される。
道府県別 30都道府県で赤字法人率が上昇
赤字法人率の最小は、青森県の61.7%(前年度62.2%)。15年度以来、5年ぶりに全国最小となった。次いで、佐賀県61.9%(同62.1%)、福井県63.3%(同63.3%)、北海道63.3%(62.8%)、崎県63.5%(同64.1%)の順。
16年度から4年連続で赤字法人率が最小だった沖縄県は、前年度から3.7ポイント増と最大の悪化で64.5%(同60.8%)となり、16位に転落した。観光業が主要産業の沖縄県は、コロナ禍の外出や旅行自粛、インバウンド蒸発の影響を大きく受けた。
赤字法人率ワーストは、14年連続で71.9%の徳島県だった。ただ、前年からの改善幅は1.1ポイントで最大だった。以下、長野県69.7%、香川県69.3%、栃木県68.9%、群馬県68.7%の順。
徳島は、地場産業の木工関連の不況や少子高齢化、人口減少でサービス業他の業績低迷のほか、医療・福祉関係の競合などを背景に、赤字法人率が高くなったとみられる。
都道府県別では、沖縄や京都など国内観光客やインバウンド需要に依存した地域で、ひと際赤字法人率が上昇した。長引くコロナ禍で21年度以降も一時的な悪化が懸念される。
赤字法人率は、コロナ禍が企業に与えた影響を改めて浮き彫りにしている。コロナ禍の支援が一巡した後、企業が独り立ちできるには、どのような支援策が必要か検討が求められる。
※ 普通法人は会社等(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人などを含む。
東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 有馬知樹
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