「世界一ひとにやさしい現場」を目指す

建ロボテックの人と共に働く鉄筋結束ロボット「トモロボ」

Tec×Tec

2022.05.19

技術で建設現場の課題を解決したい

建設工事の現場には、経験に基づく高度な技術が必要な作業と単純な作業がある。職人はどちらの作業も行うため、高い技術をもちながらそれを活かせない単純作業を続ける場合もある。

単純作業の一つが「鉄筋の結束」だ。鉄筋は建物の強度を高めるために欠かせない。例えば床部分をつくる際、格子状に鉄筋を並べて結束し、そこにコンクリートを流し込んで固める。使用するコンクリートに対して必要な鉄筋量は定められているのと同様、格子状にした鉄筋を入れる場合、「鉄筋が交差する点の50%以上を結束しなければならない」と決められている。そこで、鉄筋の交点を結束していく作業が必要となる。

400m²(20m×20m)の広さに縦・横100本ずつの鉄筋を配置すると、交点は10,000カ所。そのうち5,000カ所以上を結束していかなければならない。これまで、建設現場では職人が手作業で鉄筋を結束していた。結束線とハッカーと呼ばれる工具を手に持ち、田植えのように腰をかがめた姿勢で鉄筋をとめていく(写真)。

この単純作業を省力化し、人を辛い作業から解放し、より高度な作業に集中できるように開発されたのが、鉄筋結束ロボット「トモロボ」だ。

安定して自走しながら、自動で結束

トモロボは電動の結束工具を2つ取り付けることができる。鉄筋の上を自立走行し、磁気センサーで鉄筋の交点を感知したら、取り付けた結束工具のトリガーを引いて鉄筋を結束する。

開発には4年かかった。トモロボは格子状に組んだ鉄筋をレール代わりにして進む。しかし鉄筋は人の手で並べているため誤差もあり、またトモロボの重みでたわむ。脱線せず安定して走らせるのが最大の課題だった。突破口となったのは「やじろべえ」の原理。鉄筋2列を使って4輪車で進んでいたものを、鉄筋3列6輪にしたことで、左右に揺れてもバランスが取れると考えた。車輪の軸の部分にばねを組み込み、鉄筋のたわみや誤差に柔軟に対応できるようにしたのも工夫の一つ。磁気センサーは夜間作業を想定し、暗くなっても交点を見つけられるようにするためだった。

20cm間隔で結束する場合、5.4秒に2カ所結束することができる。人が作業する場合と比べ、1日あたり1.3倍の生産性向上が見込める。人と共に働くトモロボは、建設現場での
働き方や働く人の意識を大きく変えた。

キーワード


物体の重心

トモロボの内部を3つに分けることで、バランスを取り安定させている。「やじろべえ」と同じだ。物体を支えてつり合う点のことを「重心」という。重心はかならずしも物体の中にはなく、やじろべえは支点の延長線上(真下)に重心がある。物体の外に重心があるため、左右に揺れてもバランスが取れる。


ピッチ

トモロボの進行方向に対して水平に置かれる鉄筋(車輪が乗る鉄筋)は、鉄筋と鉄筋の間隔(ピッチ)が10~30cmの間であれば、トモロボが走行できる(2.5cm刻みで対応可能)。建設現場では手作業で鉄筋を並べるため、ピッチにばらつきが出てしまうが、配筋のずれも±2cmまで対応可能だ。進行方向に対して垂直に置かれる鉄筋(下側の鉄筋)は、交点をセンサーで自動感知するため、様々なピッチに対応できる。

実際に鉄筋を結束する「トモロボ」の動画

スタッフ・メッセージ

エンジニアである限りは、世の中のためになるものを作っていくべきだと思います。どのように役立つのか?どうすれば楽になるのか? 常に自問しながら開発をしています。また、現場で実際の作業を見て、現場作業員の声を聴き、困っていることは何なのか?どのようにしてほしいのか? をヒアリングして改良を行っています。

結束ロボットだけではなく、他のロボットも開発中で、建設現場の人手不足解消に役立てたらうれしいなと思います。

建ロボテック
取締役CTO
井上治久さん

建ロボテック株式会社

住所
香川県木田郡三木町上高岡246-2
代表電話番号
087-898-0555
設立
2013年
社員数
9人(2021年12月)
事業内容
建設現場省力化ソリューション
・省力化技術/製品の企画・開発・販売
・建設現場の省力化専門サイト「速鉄」(ソクテツ)運営
・省力化研究サイト「Con,Lab」(コンラボ)運営
地図
URL
https://kenrobo-tech.com/
確認日
2021.12.16

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