技術で建設現場の課題を解決したい
単純作業の一つが「鉄筋の結束」だ。鉄筋は建物の強度を高めるために欠かせない。例えば床部分をつくる際、格子状に鉄筋を並べて結束し、そこにコンクリートを流し込んで固める。使用するコンクリートに対して必要な鉄筋量は定められているのと同様、格子状にした鉄筋を入れる場合、「鉄筋が交差する点の50%以上を結束しなければならない」と決められている。そこで、鉄筋の交点を結束していく作業が必要となる。
400m²(20m×20m)の広さに縦・横100本ずつの鉄筋を配置すると、交点は10,000カ所。そのうち5,000カ所以上を結束していかなければならない。これまで、建設現場では職人が手作業で鉄筋を結束していた。結束線とハッカーと呼ばれる工具を手に持ち、田植えのように腰をかがめた姿勢で鉄筋をとめていく(写真)。
この単純作業を省力化し、人を辛い作業から解放し、より高度な作業に集中できるように開発されたのが、鉄筋結束ロボット「トモロボ」だ。
安定して自走しながら、自動で結束
開発には4年かかった。トモロボは格子状に組んだ鉄筋をレール代わりにして進む。しかし鉄筋は人の手で並べているため誤差もあり、またトモロボの重みでたわむ。脱線せず安定して走らせるのが最大の課題だった。突破口となったのは「やじろべえ」の原理。鉄筋2列を使って4輪車で進んでいたものを、鉄筋3列6輪にしたことで、左右に揺れてもバランスが取れると考えた。車輪の軸の部分にばねを組み込み、鉄筋のたわみや誤差に柔軟に対応できるようにしたのも工夫の一つ。磁気センサーは夜間作業を想定し、暗くなっても交点を見つけられるようにするためだった。
20cm間隔で結束する場合、5.4秒に2カ所結束することができる。人が作業する場合と比べ、1日あたり1.3倍の生産性向上が見込める。人と共に働くトモロボは、建設現場での
働き方や働く人の意識を大きく変えた。
◆キーワード
物体の重心
ピッチ
実際に鉄筋を結束する「トモロボ」の動画
◆スタッフ・メッセージ
結束ロボットだけではなく、他のロボットも開発中で、建設現場の人手不足解消に役立てたらうれしいなと思います。
建ロボテック
取締役CTO
井上治久さん
建ロボテック株式会社
- 住所
- 香川県木田郡三木町上高岡246-2
- 代表電話番号
- 087-898-0555
- 設立
- 2013年
- 社員数
- 9人(2021年12月)
- 事業内容
- 建設現場省力化ソリューション
・省力化技術/製品の企画・開発・販売
・建設現場の省力化専門サイト「速鉄」(ソクテツ)運営
・省力化研究サイト「Con,Lab」(コンラボ)運営 - 地図
- URL
- https://kenrobo-tech.com/
- 確認日
- 2021.12.16
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