やらまいか精神が 支えた挑戦

独立行政法人水資源機構 関西・吉野川支社 吉野川本部長 木下昌樹さん

Interview

2022.06.16

高校時代までを過ごした生地の静岡県浜松は、「やらまいか」精神が息づくおおらかでチャレンジ意欲旺盛な風土。「深く考えずとにかくやってみようという姿勢は、今の仕事にも活きているように思います」。京都の大学で土木工学を学び「公的な仕事で現場を経験したい」と考えるようになり、大学院を卒業後、三重県名張市・比奈知ダム建設というまさに「公的な現場」の仕事から、水資源開発公団(当時)でのキャリアをスタートさせた。

水道行政で深めた見識

池田総合管理所長時代は阿波踊りにも参加

池田総合管理所長時代は阿波踊りにも参加

三重から埼玉、2年間の厚生省(当時)出向を経て群馬、福岡…と、全国各地でダムの設計に携わり、管理業務も経験しつつ、再び厚生労働省に2年出向。水道行政に携わる機会を得た。

「2度の出向は珍しいケースです。水道は昭和40年代に普及率が急上昇し、耐用年数が約40年で、2010年代がちょうど更新需要期。財源を確保し、持続可能な水道事業を守るアセットマネジメントが、私の仕事でした」。全国で講演活動を行う中で、聴衆の熱気を肌に感じて「みんな危機感を持っているんだ」と実感したことも忘れがたいという。

水資源機構本社で経営企画部や全国のダム管理を統括するダム管理課長を経て、池田総合管理所の所長として初めて四国の地を踏んだのが2017年。ダムは洪水や渇水を未然に防ぐため放流機能を使って水流をコントロールし、下流の生活を守る役割がある。所長を務めた2年間、施設のメンテナンスと月1回の訓練を欠かさず職員の意識を高める一方、18年7月には西日本豪雨も経験した。「絶対に放流の調整を誤ってはいけないし、1時間以上雨が降り続けて気が抜けず…生きた心地がしなかった。管轄内では被害が出ず、本当に安堵しました」

暮らしを守る責任を胸に

その土地の食や文化に触れるのが大好き

その土地の食や文化に触れるのが大好き

19年に本社に戻り、関東事業全体の統括を1年務め、コロナ禍が始まった頃に危機管理監となって着任早々機構内のコロナ対策立案に追われた。クラスターを出すことなく事業継続に貢献し、中部支社で副支社長を務めたのち、吉野川本部長として2度目の四国へ。先端技術を積極的に取り入れ省力化・高度化を目指すDXへの取り組みや、早明浦ダムをはじめとする地域のダム施設の機能向上に意欲を見せる。

水を生み出すダム建設と、それに伴う環境保全の取り組み、下流域の暮らしを守るダム管理など、スケールの大きいキャリアを築けたのは、「いろんな経験をさせてくれる当機構の風土と、やらまいか精神の賜物」と振り返る。「自分が携わったプロジェクトや施設がきちんと力を発揮して、渇水や洪水から暮らしを守った時は、心からよかったと思います」

戸塚 愛野

木下 昌樹 | きのした まさき

略歴
1965年 静岡県生まれ
1989年 京都大学大学院工学研究科交通土木工学修了
    水資源開発公団に採用
2017年 (独)水資源機構 池田総合管理所長
2019年 同 本社特命審議役
2020年 同 本社危機管理監
2021年 同 中部支社副支社長
2022年 同 関西・吉野川支社 吉野川本部長

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