前年同期比17件の増加、過去10年比較で4番目
2023年度上半期香川地区企業倒産状況(4月~9月)

東京商工リサーチ

Research

2023.11.02

<倒産件数>25件
前年度比 212.50%(2022年度8<件)

<負債総額>4,000百万円
前年度比 189.02%(2022年度1,384百万円)
2023年度上半期香川県企業倒産状況(負債総額1,000万円以上、内整理を含む)は件数25件、負債総額40億円。倒産件数25件は、前年同期比17件増、11年連続で30件を割り込み、過去10年との比較で件数は4番目。負債総額は前年同期比26億1,600万円増、過去10年間との比較で5番目だった。

市郡別では、高松市が15件でトップ、以下、坂出市・三豊市が各3件、丸亀市・さぬき市が各2件だった。善通寺市、観音寺市、東かがわ市、小豆郡、木田郡、香川郡、綾歌郡、仲多度郡の倒産はなかった。

形態別では、法的倒産25件(破産24件、特別清算1件)だった。新型コロナウイルス関連倒産は25件中11件(構成比44.0%)だった。

販売不振が23件でトップ、『不況型』倒産は23件で構成比92.0%

原因別では、販売不振が23件(構成比92.0%)でトップ、放漫経営・その他が各1件だった。『不況型』倒産は23件(前年同期7件)、構成比は92.0%だった。前年同期比では、販売不振が16件、放漫経営が1件と夫々増加、その他は前年同期比同数(前期1件で当期1件)だった。

建設業が11件と最多、小売業・サービス業他が各4件、卸売業が3件と続く

産業別では、10産業のうち6産業で倒産が発生した。建設業が11件でトップ、サービス業他・小売業が各4件、卸売業が3件、製造業が2件、運輸業が1件だった。農・林・漁・鉱業、金融・保険業、不動産業、情報通信業の倒産はなかった。

前年同期比では、建設業が10件、小売業が4件、製造業・卸売業が各2件、運輸業が1件増加。一方で不動産業は1件減少した。農・林・漁・鉱業、金融・保険業、情報通信業は前年同期比同数(前年同期0件で当期0件)だった。
香川県の22年度上半期(4月~9月)企業倒産は、8件と10期連続して30件を割り込み、負債総額も13億8400万円と過去10年との比較で件数、負債総額共に最少となるなど、ゼロゼロ融資や各種助成金、給付金等といった手厚い支援策が奏功し、倒産件数は抑制された。しかし22(令和4)年12月度以降、県内の倒産件数は10カ月連続で前年同月を上回っており、今回集計した23年度上半期(4月~9月)の件数は25件と前年同期8件と比して3.5倍増となった。また負債総額の増加や、集計には含まれないが負債総額1000万円未満の少額倒産の発生が複数あったことも意識する必要がある。

過剰債務、人手不足、物価高が資金力の乏しい中小企業の経営を直撃している。中小企業の業績は二極化が拡大し、コストアップを背景に「利益が伴わない売上増の決算が目立つ」との声も増えている。更に、最低賃金が全国加重平均で1000円を超えるなど、人材確保のためにも賃上げは避けられず、同時に生産性の向上や収益力強化も求められる。

ゼロゼロ融資の返済、過剰債務の解消、物価高、人手不足など、経営課題が山積する中、中小企業の価格転嫁は十分ではなく、売上増に伴う適正な利益の確保、資金需要への対応が今後の倒産動向のキーポイントとなる。この様な中、業績改善が遅れた企業を中心に今後企業倒産は増勢ピッチを強める可能性が高まっている。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博

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