車がホテルや秘密基地に! キャンピングカー販売

株式会社岡モータース代表取締役岡宏治さん

Interview

2014.01.03

販売戦略

差別化

技術

事業承継

旅行

広い敷地にずらりと並ぶ自動車。その中でも、キャンピングカーがひときわ目立つ。リニューアルしたショールームは美しく、高級感が漂う。50年以上、新車、中古車販売を手掛けてきた株式会社岡モータース。10年前から、キャンピングカーの販売も始めた。

「四国で扱っているところはほとんどなく、お客様からの要望がきっかけでした」と、代表取締役の岡宏治さん（49）。当時は、一部マニアの乗り物だと思っていたという。

「実際に見学すると、洗練されたデザインに驚き、感動しました。『これはいける』と思いましたね」。この10年でさまざまなメーカーの四国地区代理店となり、新車から中古車まで品ぞろえは豊富だ。

キャンピングカーを扱うまで、アウトドアにあまり興味がなかったという岡さん。しかし、今ではすっかり魅了されている。「泊まる場所の心配がないので、自分で運転して日本中どこへでも行けます。思い立った日に出発できるのがいいところですね」

値段は、車の大きさや内装に応じて150万円台から1800万円台と幅広い。室内照明に調理台、テーブル、ソファー、シャワー、トイレ、ベッドなど充実した設備は、ホテルの一室のようにも見える。ワンボックスカーの車内を改装した「バンコン」タイプは、外観からはキャンピングカーと分からない。扉を開けた瞬間に広がる光景には思わず驚きの声が漏れる。

「照明やエアコンはサブバッテリーの電源を使うので、車のエンジンを切っていても快適に過ごせます。走行充電以外に、ソーラーパネルを搭載すれば、ほぼ電気には不自由しません」。冬場のスキー場でも、Tシャツ1枚で過ごせるほどだそう。

「軽自動車で、200万円ほどで買えるキャンピングカーがほしい」。そんな顧客の要望で、2年前から軽キャンピングカーの開発に着手。商品の販売から開発へと事業を拡大した。

「販売店として学んだことを生かせましたね。やってできないことはないという気持ちで挑戦しました」。機能を充実させながらも、軽量で快適な走行ができることを重視した。オリジナルの軽キャンピングカーは人気となり、現在、納車は数カ月待ちの状態だ。

「先代社長である父は、当初、キャンピングカーの販売には反対でした。最近になってようやく認めてもらえました」

岡さんは開発と販売だけでなく、キャンピングカーの普及にも取り組む。全国的な組織「一般社団法人日本RV協会」のRVパーク推進委員として活動中だ。

「RVパーク」とは、キャンピングカーなどで車中泊をする人のために、場所を提供するシステムのこと。ゆったりとした駐車場や24時間使用可能なトイレがあり、安心して車で滞在できることがRVパーク認定の条件。道の駅や温泉施設、オートキャンプ場などと連携し、全国で整備が進んでいる。四国には、高知と徳島の2カ所。いずれ香川県内にも誕生する予定だ。

「キャンピングカー先進国はヨーロッパです。日本でも、もっと良さを理解してもらえれば」。最高レベルと言われるメーカー「ハイマー」があるドイツを訪れたことも刺激となった。ライン川沿いにキャンピングカーが並んでいる様子は印象的だったという。

「キャンピングカーは移動手段だけではなく、秘密基地のような存在でもあります。『今日は何をしようか』というワクワクを体験してほしいですね。今後も軽キャンピングカーから外国車まで、あらゆる商品を扱っていきます」。目指すは西日本で一番の販売店だ。