インボイス制度開始
免税事業者との取引は「これまで通り」は5割強(53.6%)にとどまり、免税事業者とは「取引しない」と回答した法人は7.1%、「取引価格を引き下げる」と回答した法人は1.8%で、合計1割強(8.9%)の法人が免税事業者との取引にネガティブな意向を示した。「検討中」は37.5%だった。
広報活動を通じてインボイス制度の認知度は広がり、10月以降に申請予定まで含めると登録意向を示す法人は96.5%に達した。しかし、調査時点でまだ登録しない法人や免税事業者との取引への方針が決まらない法人も見受けられた。
「申請済」が82.5%
一方、「(申請を)しておらず、する予定はない」と「しておらず、方針は決めていない」は、それぞれ1.8%(各1社)にとどまった。
規模別では「申請した」は大企業が100.0%、中小企業が80.4%で、大きな差が出た。
「準備が完了していない」が約5割
規模別では、「完了している」は大企業が66.7%(4社)、中小企業が50.0%(25社)で、大企業の準備が先行している。「完了していない」は大企業が33.3%(2社)、中小企業が50.0%(25社)だった。
小・零細企業、フリーランスを中心にインボイス制度に対する抵抗は根強い
制度が始まり、登録番号の確認や入力、記載要件が不備の適格請求書、課税事業者と免税事業者への対応に混乱が生じることが現実味を帯びてくる。また、認識不足から独占禁止法や下請法上の問題が生じる事態も想定される。
インボイス制度登録は任意で、免税事業者を選択する事業者は基本的に小・零細規模のため、煩雑な作業などの事務負担も大きい。政府や国税庁は消費税を相殺できる経過措置だけでなく、丁寧な支援を継続しつつ、徴税が小・零細企業、フリーランスの廃業を加速させないよう慎重な制度運用が求められる。
Q. 2023年10月に導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」について、「よく知っている」、「大体知っている」、「少し知っている」と回答された方(免税事業者は除く)に伺います。インボイス制度導入後、免税事業者との取引はどうする方針ですか?(択一回答)

※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(資本金がない法人を含む)を中小企業と定義。個人事業主を除く。
東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博
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