うどんにみるダイバーシティ
日本銀行高松支店 支店長 大塚 竜
2024.04.04
外食産業も経営が難しい中で、うどん店が県内に数百もあるのは驚きです。私は讃岐うどんの強みは、その多様性にあると考えます。どの店もおいしいのですが、豊富なバリエーションにより、すみ分けができます。また、各自の強みをもとに切磋琢磨するので、衰退せず進化を続けています。
多様性を英訳すると「ダイバーシティ」ですが、これは経営の領域でよく使われる言葉です。性別、年齢、人種などに関わりなく、多様な人々が個人として尊重され、それぞれがもてる力を最大限発揮できる組織を作り上げていくことが重要です。世界がフラット化し、グローバル化が進むにつれて、多様性を受容する姿勢が不可欠になっていくでしょう。
さて、人気のうどん店では、昼前から長蛇の列ができ、閉店時刻の随分前に「本日売り切れ」の旗が揚がります。そこでよく見る光景は、旅行で訪れたと思われる県外客が売り切れの旗に落胆し引き返すと、すかさず地元の方が「代わりに食べていって」と列を譲る姿です。この県民性に幾度も心を打たれました。私のような県外赴任者を温かく受け入れていただけるのも納得します。
香川経済同友会では、拠点長会を設け、全国の企業等の出先トップの方々を中心に、香川県の現状と課題にかかる意見を出し合い、活発に議論しています。何らかお役に立ちたい一心で、私も参画しています。香川にはうどんにみられる多様性と受容性の高い気質という素地があるので、必ず課題を克服し飛躍していくと信じています。
日本銀行高松支店 支店長 大塚 竜
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