日銀のマイナス金利解除、企業意識に変化
東京商工リサーチは4月1~8日に企業アンケートを実施し、企業の資金調達への影響を探った。この1年間で借入金利が「すでに上昇している」と回答した香川県内の企業は31.7%に達し、政策を変更する直前の2月のアンケートから20.6ポイント上昇した。
向こう半年の借入金利について、メインバンクから「引き上げをはっきり伝えられた」、もしくは「可能性を示唆された」と回答した企業は合計50.0%に達し、2月より36.9ポイント増加した。
政策変更の方針は決定前に広く報じられていたこともあり、借入金利「引き上げ」に対する企業の許容度も変化している。メインバンクから借入金利について、現状から0.1%上昇を打診された場合、「受け入れる」との回答は71.1%に達した。0.3%の上昇では29.4%、0.5%の上昇では9.7%だった。2月調査では、それぞれ61.3%、33.3%、24.1%で、0.1%上昇のみ「受け入れる」と回答した企業が増えた。
今回の調査で多くの企業が借入金利の上昇を織り込んでいることがわかった。ただ、本業で稼ぐ力が改善しない場合、外注費や設備投資、人件費などコスト面にシビアな事業計画の策定に繋がる可能性もある。
※本調査は、2024年4月1~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答48社を集計・分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
3月19日に日銀はマイナス金利政策の解除を決めたが、長期金利に大きな変化はみられず、円安基調も続き、住宅ローン金利も低位で安定している。政策変更が決定される前に広く報じられるなど「市場との対話」も奏功し、17年ぶりの利上げは大きなインパクトを与えていないようにみえる。ただ、企業と金融機関に限定すると風景は様変わりする。
金利上昇への許容度や金融に求めるサービスは企業ごとにまちまちで、金融機関の出方次第ではメインバンクシェアが大きく変動する可能性も秘める。原材料、エネルギー、人件費に加え、借入コストも上昇する時代に突入し、企業も金融機関も生き残り競争が一層激化しそうだ。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博
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