ニーズに細やかに応え
技術やノウハウを発展させる

日進機械

Tec✕Tec

2025.07.16

yBK

ニッチ戦略

顧客志向

技術開発

写真左　技術部　技術課　新谷　政樹さん（香川高専高松出身）
写真右　技術部　技術課　山下　航平さん（高松東高校出身）

顧客の特別なニーズに応えて独自の製品やサービスを提供することで、他社との差別化を図るのも企業が成長するための一つの戦略だ。日進機械は、科学技術分野に強い「技術商社」としてのネットワークで部材を調達し、個別の部材を一つの機器としてまとめて製品に仕上げている。顧客のニーズは様々で「市販の機器にこの機能を加えたい」「2つの機器で行っていた計測・分析をつなげて自動で行いたい」など。求められる予算の中で、既存の機器と組み合わせるなどの工夫をこらしながら要望に応えていく。

同社では基本的に担当者が中心になって企画、設計、組立、メンテナンスまで一貫して手掛けるのが特徴だ。その過程を通し、社内にいる機械、電気、ソフト開発といった各分野の技術者たちが様々な技術やノウハウを得て成長し、新たな分野への挑戦にもつながっている。

現在は、血中内のがん細胞を捕捉してがんのリスクを検査するCTC検査装置の共同研究プロジェクトにも参加。研究機関がもつ知財をもとに、熟練者でなくても正確に扱えるよう装置を自動化する部分の開発に携わっている。

特殊な科学機器や計測機器など、専門性が高い製品を手掛けてきたノウハウを活かし、今後はオリジナル製品も増やしていきたいという。

どのような業務に携わっていますか。

山下　主に機械設計の業務を行い、現在はCTC検査装置の開発に携わっています。医療機器という分野への挑戦は簡単ではありません。スケールが大きい産業機械だと動いていたものが、同じ原理を使っても小さい医療機器だとうまくいかない。計算ではどうにもならない部分があり、3Dプリンターも使いながら何度も試作して実験する……の繰り返しです。

新谷　工場で使われる制御盤の設計・製作をしています。制御盤は機械や設備が動作するための命令を出す装置ですが、工場内の様々な機械や設備に使われているため、全体的なつながりも考えながらつくらないといけない点が難しいです。現場によって制御盤の中身は全く違うことが多いので、その場合は設計から手掛けています。

おもしろいところは。

新谷　同じような仕事がないので、本当にいろいろな経験ができて面白いです。現場で作業するのは工場が稼働していない間。限られた時間の中で安全、正確に作業を進めるのは緊張感もありますが、実際に現場を見ると図面だけではわからなかったこともクリアになるので勉強になります。「もっとこうすればいいのでは」という現場での発見を設計に反映させることもあります。

山下　設計する際に、自分の考えを深いところまで落とし込めるところです。ユーザーのことを考えるのは当たり前ですが、組み立てる人、設置する人、販売する人など関わっている様々な人のことも想像しています。使いやすさはもちろんですが、個人的には形がいいとか見ていて面白いとか、使う人が愛着をもてるデザインかどうかも大切にしています。

今後に向けて。

山下　業務に必要な資格については、会社が積極的に取得をサポートしてくれていて、自分できちんと時間管理しながら業務中に勉強することもできます。電気工事士の資格は取得しましたが、最近は法令の関係で資格がないとこの現場には入れないというケースも増えてきたので、必要に応じて資格取得に挑戦していきたいです。

新谷　私も電気工事士の資格は取得しましたが、今度は1級の電気工事士を取得して仕事の幅を増やしたいです。山下さんと一緒に協働ロボットの操作に関する研修も受けました。また、顧客のニーズをしっかり把握するためにも、コミュニケーションを大切にしたい。雑談でもいいので、話をしながら信頼関係を築いていきたいです。

◆キーワード

ニッチ戦略

大手が狙わない小さな市場をターゲットに、特定の顧客に専門性の高い製品やサービスを開発、提供すること。競合が少ない市場を狙うため価格競争に巻き込まれにくい、高収益が望める、大規模な設備投資の必要がなく企業資源を有効に活用できる、市場環境が変われば大きな市場になる可能性もある、といったメリットがある。成功のためには、ニーズをしっかりリサーチする、専門的な技術やノウハウを蓄積することが重要となる。