企画から組み立てまで、試行錯誤
顧客のニーズに応える

日進機械

Tec✕Tec

2023.11.27

yBK

ものづくり

イノベーション

顧客志向

技術開発

（写真左）技術部技術課　技術係長　新開　一輝さん（香川高専高松　出身）
技術部技術課　技術担当　黒木　裕介さん（高松工芸高校　出身）

SIer（エスアイアー）は、別々の部材や製品を一つの機器としてまとめ、正しく機能するように完成させる企業のこと。日進機械は、科学技術分野に強い「技術商社」としてのネットワークを活かして部材を調達し、技術者が顧客のニーズに合わせた機器に仕上げている。

例えば、「市販の機器では機能が不足している」「2つの機器で行っていた作業を1つの機器で完結させたい」といったニーズに対し、最適な部品の選定、既存の部品の組み合わせなどの工夫を凝らし、設計･製造する。

同社では基本的に担当者が中心になって、企画、設計、組み立て、設置、メンテナンスまで一貫して手掛けるのが特徴だ。担当者が課題に直面しても、社内にいる機械、電気、化学、ソフト開発といった各分野の技術
者がフォローする。入社当初は専門知識がなくても、担当した案件に対して試行錯誤しながらじっくり知識や技術が身に付いていく。

「自動化･省力化」をはじめとしたニーズに応えて製造現場を支えるとともに、技術力を活かして大学と共同研究した独自製品も生まれている。　

これまでにどんな製品に携わってきましたか。

技術部技術課　技術係長
新開一輝さん（香川高専高松出身）

【新開】マイクロレベルの精密機械を加工する装置や、充放電試験機、プラズマ処理装置などのメンテナンスが多いです。今ある機器をより使いやすく、作業効率を上げるにはどう改良すればいいか、発想を広げて考えるのが楽しい。様々な分野の機器に挑戦する方が好きかもしれません。

【黒木】私はどちらかというと、一つの製品をじっくり追求するタイプの仕事が多いと思います。発電所の冷却装置監視システムを検討するための縮小版や、赤外線で化学成分を測定する分光装置など。特に分光装置は、以前自分が関わったものをさらに改良するという珍しいケース。“敵は過去の自分”というめったにないチャンスで……おもしろかったです。

お互いの仕事についてどんな印象ですか。

技術部技術課　技術担当
黒木裕介さん（高松工芸高校出身）

【黒木】顧客からの要望が漠然としていたとしても、それに対して「こうしたらいいのでは」「こんな方法もある」という引き出しの多さとセンスはすごい。よくそんなにアイデアが出るなと感心します。

【新開】この仕事は技術だけではなくコミュニケーション力も必要です。黒木さんは両方の力があります。この仕事は「ここを直してください」という要望通りに実行するのではなく、相手の意図をくみ取ることが大切。「何に困っているのか」という本質を見極め、別の方法を提案した方がうまくいく場合もあります。

仕事のやりがいはどんなところにありますか。

大学と共同開発した「分光装置」

【黒木】同じ内容がほとんどないので、日々新鮮でおもしろいです。設計上は問題ないと思ってもいざ組み立て始めると「ここは使いづらいから変えよう」と気づくことも多い。すべての工程を経験することで成長できるし、次はこうしてみようという気持ちになります。

【新開】オーダーをいただく顧客の方がその道のプロで知識が深いことも多い。私たちはユーザーが気づかない部分をカバーすることが大切。あきらめずに試行錯誤しながら、製品でものづくりの現場に貢献できればと思います。

高校の時にやっておいた方がいいこと

新開さん
年齢の違う人とのコミュニティに参加して交流すると視野が広がるはず。きっかけは挨拶からでもいいと思います。

黒木さん
学校のクラスや専攻以外の友達、先生と積極的に関わってください。社会に出てもコミュニケーションは大切です。

◆キーワード

SIer（エスアイアー）

システムインテグレーターの略。もとは、IT業界でシステムの設計、開発、運用、メンテナンスまでを一括して請け負う企業を指すことが多かったが、最近はロボットシステムや機械システムを構築する企業を指す場合もある。個別の部材、製品を一つの機器としてまとめ、正しく機能するように完成させる企業のこと。製品が現場で機能するためには、既存設備との組み合わせや周辺機器の整備などが必要になる。