“オモロイ”発想で開発・製造
独自技術を次世代に継承

シコー

Tec✕Tec

2024.09.16

香川製造部 後列左 福本 拓海さん(尽誠学園高校出身)、柏野 祐平さん(坂出工業高校出身) 前列左 大捕 孝太さん(坂出商業高校出身)、森 美結さん(飯山高校出身)

香川製造部
後列左 福本 拓海さん(尽誠学園高校出身)、柏野 祐平さん(坂出工業高校出身)
前列左 大捕 孝太さん(坂出商業高校出身)、森 美結さん(飯山高校出身)

シコーの「製品開発」

製品開発には、市場や顧客のニーズを踏まえた上で開発から販売まで行う方法と、企業の理念や技術を活かして開発した上で販売方法を考える方法がある。食品から化学薬品、建材まで様々なものを包む紙製・プラスチック製の袋を開発・製造するシコーは、高い技術を活かし、顧客目線と作り手目線の2つの方向から製品を提供している。

例えば「スパイクバッグ」は、袋の表面にエンボス加工(凹凸をつける)を施して滑りにくくした大型の袋。重量のある肥料を輸送する際、荷崩れを防ぐために積み荷のまわりにフィルムをぐるぐる巻かなければならず、コストと手間に悩む顧客の声を受け提案した“ピンポイントで刺さる”製品だ。

エンボス加工は以前からあった加工方法だが、提案にあたって効果を検証するため試験を実施。その過程で、袋の上と下の両面を加工するより片方の面だけの方が滑りにくいことを発見。その理由も明確にした上で片面だけ加工できる装置もつくり、特許を取得した。実証試験の結果は社内で共有するとともに、スパイクバッグをリフトに積んで工場内を移動する動画もサイトにアップして情報発信している。

シコーが目指すのは「包装のストレスをオモロイ発想で感動に変える」こと。滑りにくい、通気性が高い、開封しやすい、中身が漏れにくい、水に溶ける……顧客が本当に求めていることに向き合う。一方で新たな取り組みとして技術を活かした独自製品の開発にも挑戦。これからも“オモロイ”製品を生み出していく。

スパイクバッグをどのように提案しましたか。

代表取締役社長 白石 忠臣さん(大阪・桜塚高校出身)

代表取締役社長 白石 忠臣さん(大阪・桜塚高校出身)

小野 お客様に応じて自分なりにテーマを持って提案している中で、スパイクバッグの動画資料をお持ちしたある企業から「実は輸送用製品の荷造りに悩んでいた」という相談をいただきました。製品テストの結果やサンプルをお持ちして話をしながら、エンボス加工の配置を変えるなど独自のカスタマイズを加えて製品づくりを進めました。

白石 すごくいい提案ができているので、社内でも過程を共有したいです。大事なのは「滑らない“その先”に何を求めているか」を探ること。滑らない袋の効果としてコスト削減、効率化、人手不足解消、荷崩れフィルムによる環境負荷を低減する……と解決したい内容はお客様によって違う。それを引き出す力は、今後の製品開発にも活きてくると思います。

現在、何か開発している製品はありますか。

白石 溶かしたロウを紙に染み込ませた「ロウ引き」という製品があり、精肉などの包装資材に使われているのですが、これに新たな付加価値を見出す製品開発を進めています。まずおもしろい製品をつくって新たなニーズを開拓する挑戦です。小野さんはプロジェクトメンバーの一人です。

小野 防水性と耐油性、独特の風合いといったロウ引きの特長にデザイン性も加えた製品としてリリース予定です。用途をどう広げるか、どんな形状にするか……様々な視点から意見を出し合いました。1枚のシート状にして素材としても販売できるので、地元企業と連携して香川らしい商品を生み出せないか考えたいと思っています。

プロジェクトを経験してどんな変化がありましたか。

西日本事業部香川営業所 小野 正登さん(琴平高校出身)

西日本事業部香川営業所
小野 正登さん(琴平高校出身)

小野 入社してすぐ、ロウ引きのことも知らない状態から製造現場の技術者と何度も話をして、各部署とも積極的にコミュニケーションしてきた経験は大きな力になりましたし、製品の知識もつきました。製品が話題になって地元メディアにどんどん露出できるように、という社長の期待もありますので……頑張りたいです。

白石 新しいことに取り組むたびに経験と仲間が増えることは大きな財産です。今後は、製品開発はもちろん、これまで開発した製品を展示会で紹介してみたい。顧客のお悩み解決をテーマにした内容を考えています。社員が新たな経験をすることで、その人の成長、ひいては会社の成長にもつながると思います。

◆キーワード


マーケットイン/プロダクトアウト


製品開発には、市場の動向や顧客のニーズを調査した上で製品開発から販売まで行う「マーケットイン」と、自社の理念に合うものや技術を最大限活かした製品をつくった上で新たな市場を開拓する「プロダクトアウト」という方向性がある。マーケットインにはある程度市場があり売り上げが予測しやすい、プロダクトアウトには自社独自のアイデアや技術を存分に発揮できるなど、それぞれにメリットがある。

シコー 株式会社

住所
大阪府大阪市北区梅田1-1-3-1500 大阪駅前第3ビル15階
代表電話番号
06-6345-8456
設立
1950年11月2日(大阪紙工株式会社)
社員数
196人
事業内容
大型紙袋、PE重包装袋、プラスチックダンボール、
各種産業用包装資材の製造・販売
西日本事業部 香川製造部・香川営業所
坂出市昭和町2丁目6番12号
TEL. 0877-46-4545(代表)/FAX. 0877-44-0078
グループ
三栄紙工株式会社、ポリタイ化学株式会社、丸倉化成株式会社
シコーホールディング株式会社、株式会社ウエスタン・ペーパーバッグ
地図
URL
http://www.siko.co.jp/
確認日
2024.09.19

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