“日進月歩”で科学技術を支える

日進機械 社長 常盤 朝一さん

Interview

2022.07.07

高松市一宮町の日進機械本社

高松市一宮町の日進機械本社

「かゆいところに手が届く」

「私たちは科学技術商社です」。常盤朝一さん(56)は日進機械について、こう表現する。

扱うのは、放射線や「PM2.5」などの大気汚染物質を計測する装置、水質を計測する装置、電子顕微鏡、分析機器に気象観測装置、工業計器、材料試験機など特殊な科学機器や計測機器がほとんど。四国と岡山をエリアに、化学メーカーや電力会社、製紙会社など大手民間企業のほか、研究開発を行う自治体や大学などに営業・販売している。「一般的にはあまり馴染みのない製品ばかりですが、科学技術の発展や地球の環境保全を縁の下で支えている、そう自負しています」

1972年の創業以来、機械メーカーがつくった科学機器を、商社として販売してきた。だが、「設計製作、メンテナンスなどに携わることで、着実に技術力が備わってきた。これからは『モノづくり』に更に力を入れ、会社をもっと成長させていきたい」と常盤さんは口調を強める。

今年、岡山県の研究機関、岡山セラミックス技術振興財団と、画期的な「加熱試験装置」を共同開発した。「製鉄用の炉の素材などに使われるセラミックス材料などが、高温環境下でどんな物性を持つのかを品質試験する装置です」

これまでの加熱試験装置は、目標とする温度まで加熱するのに時間がかかり、1回のテストに数時間が必要だった。新たな装置は、ヒーターや加熱部位などを工夫したことで、1分程で2000℃超、最高で3000℃まで温度を上げられるようになった。テストにかかる時間が15~30分に短縮でき、「製鉄の炉の開発など様々なシーンで能率化でき、大幅なコスト削減につながる」と注目を集めている。
赤外分光装置の性能評価の様子

赤外分光装置の性能評価の様子

さらに香川大学との共同研究で、物質表面の化学成分を赤外線で2次元計測する「分光装置」も新開発。海洋プラスチックごみの成分を迅速に分析したり、コンクリート建造物の塩害劣化を非接触で調べたりと、広範囲での活用が期待されているほか、「惑星探査ロケットに積み込めば、惑星表面の化学物質を調べることもできるんですよ」と常盤さんは目を輝かせる。

「私たちが向かっているのは、極めて“ニッチ”な分野かもしれません。でも、見える化や省力化などで大きく社会に貢献できる。『かゆいところに手が届く』。そんな“モノづくり”を目指していきたいと思っています」

繋がった“自然”への思い

「私、ちょっと変わった人間なんです」と笑う。大学は8年かけて卒業した。その理由は「釣りとアルバイトにどっぷりはまったからです……」。アルバイトは釣り堀、休日は釣り場へ。自然の中で過ごす毎日は「至福の喜びでしたね」

元々、自然が大好きだった。「正直、もう辞めようか」と思っていた大学も何とか踏みとどまり、やがて自然保護の研究に没頭した。卒業論文のテーマは「マングローブ」。種子島の生息地から土を持ち帰って塩分濃度やpHを調べるなど、マングローブの生態を追究した。

92年、新卒の26歳で日進機械に入社。大気汚染測定や水質分析など、環境保全に関わる会社だというのは「全く知らなかった。たまたまです」と打ち明ける。「私の“自然好き”と、図らずも繋がりました。不思議な感覚です」

主に営業畑を歩み、岡山営業所(現岡山支店)勤務時代には、岡山大学環境理工学部で新たな研究室を丸ごと立ち上げるのに携わった。また、「ごみの埋め立て処分場で大気汚染や土壌汚染を観測するシステムを導入する仕事もしました。大きな希望を抱いている先生や学生のお手伝いが少しでもできればと。その後、化学メーカーや大学で研究職に就いた学生もいるんですよ」。常盤さんはうれしそうに当時を懐かしむ。

平均給与80万円アップへ

新しくした会社ロゴ。大気の赤と水の青で「日」をデザイン

新しくした会社ロゴ。大気の赤と水の青で「日」をデザイン

今年4月、日進機械は創業50周年の節目を迎えた。常盤さんは会社ロゴを一新。日進の「日」を、大気をイメージした赤と、水をイメージした青でデザインし、「“日”が未来へ向かって“進”んでいく、という思いを込めました」

さらに、今後10年の経営計画を策定。科学技術商社として培った“技術力”を生かして「能力」「認知度」「実績」を伸ばし、10年後には社員の平均給与を80万円アップさせるという大きな目標を掲げた。「現状維持は衰退しているのと同じ。一歩ずつ、少しずつでも、日々成長していきたいと思っています」。10カ年計画は、社名の由来でもある『日進月歩プロジェクト』と命名した。

「大切にしたいのは『お客様第一』『社員第一』。一番にお客様に頼られる存在になり、社員が働きやすい環境をつくっていく。この会社を、みんなが活躍できる場にするのが私の使命だと思っています」

篠原 正樹

常盤 朝一 | ときわ ともかず

略歴
1965年 坂出市出身
1984年 丸亀高校 卒業
1992年 広島大学総合科学部 卒業
     株式会社日進機械 入社
     岡山営業所(現岡山支店)、徳島支店勤務などを経て
2019年 代表取締役

株式会社 日進機械

住所
香川県高松市一宮町744番地1
代表電話番号
087-864-7423
設立
1972年4月1日
社員数
91人
事業内容
科学機器・計測機器・産業機械の販売、モノづくり、メンテナンス 他
URL
https://www.nissin-kikai.co.jp/
確認日
2022.07.07

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