自社開発の強みを活かし
「食」の現場のニーズにきめ細かく対応

コーエイコンピューターシステム

Tec✕Tec

2024.11.19

コーエイコンピューターシステムの「栄養管理ソフト」

IT業界のソフト開発などでは、プロジェクトの一部業務だけを請け負う企業も多い中、コーエイコンピューターシステムは「栄養管理ソフト」に特化し、企画からプログラム、運用、保守まですべての工程を一貫して行う自社開発が特長だ。手掛けるのは栄養管理ソフト「EIBUN(エイブン)」シリーズ。学校給食、病院や福祉施設など1食あたりの栄養量の基準が定められている献立の栄養計算ができる製品で、年齢や健康状態などによって栄養量の目標が違うため、ベースとなる機能に加えて細かいカスタマイズが必要となる。そのニーズに柔軟に応えられるのは、自社開発だからこそ。毎日の献立を考える栄養士をはじめ顧客の声を直接聞きそれを企画、開発、バージョンアップなどに活かしている。

例えば、学校給食なら3・4年生の献立を入力すれば自動的に低学年は量を減らし高学年は増やすようにしたい、アレルギー対応の献立にも対応してほしい、病院なら塩分・脂質の量を一人ひとりに合わせて献立展開をしたい、サイズ違いの商品を一番安い組み合わせで発注できるシステムにしたい、提出先によって違う書類の印刷様式に対応してほしいなど。

ソフトはパソコンにインストールするものとWeb版があり、最近はパソコンとWeb相互でデータをやり取りできるようにしたいという要望も。また「日本食品標準成分表2020年版」への改定に伴い、新たな食品成分の計算方法に対応するソフトも開発。変わっていくニーズにも対応しながら学校、幼稚園、保育所、病院、福祉施設など全国の食の現場を支えている。

開発でおもしろいところは。

システム開発部 中川竜平さん(坂出高校出身)

システム開発部 中川竜平さん(坂出高校出身)

今井 例えば、食品成分表の改訂といった大きな変化があると戸惑いも多いと思いますが、私たちがいち早くソフトを開発することで現場の栄養士さんたちの情報もアップデートされ、業界全体の底上げにつながると思うとやりがいがあります。また、「ソフトを導入して助かった」という声が直接聞けるのも励みになっています。

中川 “今”のニーズや時代の変化に触れ、それを使いやすい機能として試行錯誤しながら形にできるのはおもしろいです。

いま開発を進めているWeb版とインストール版の連携も、データの整合性など難しい面もありますが、完成すれば「複合版」という新たな製品として提案の幅が広がると思います。

食品成分表2020(八訂)をふまえたソフトとは?

中川 今までは献立に使う生の材料の栄養成分で計算していましたが、調理して変化する栄養成分で計算するように。例えばタマネギ100グラムを使ったとして焼く、煮る、蒸す……調理の仕方によって重量や栄養量がどう変化するかは違います。そこで、食品成分表で調理ごとに算出されている重量変化率をもとに栄養量を自動で計算できるソフトを開発しました。入力する際の選択項目は増えましたが、操作自体は食材と調理方法を選ぶだけというシンプルなものを目指しました。

今井 現在は過渡期で、現場では新旧両方の食品成分表を比較しながら作業したいというニーズもあり、それにも対応しています。病院などで脂質やカリウムなど、摂取量に制限がある人にとって実際に口にする食品の栄養量を算出・把握できるのはいいこと。健康志向で一般的にもこういった流れは広がっていくと思いますので、時代に合ったニーズに対応していきたいと考えています。

今後、取り組んでみたいことはありますか。

システム開発部 今井辰弥さん(香川高専詫間出身)

システム開発部 今井辰弥さん(香川高専詫間出身)

今井 「栄養ソフト」という一つの分野に特化していますが、開発にあたっては様々な視点から考える必要があるので、飽きることはありません。今後も、新たな用途や機能を求められると思いますが、どんなにソフトが複雑になっても現場の作業効率を上げられる使い勝手のいいソフトを目指したいです。

中川 社内で企画から開発、製品化まで手掛けられる環境なので、自分のアイデアも活かせる。今後は、学校や病院以外にも「食」のソフトを求めている潜在的なニーズを掘り起こして製品に反映させていきたいと思います。

◆キーワード


自社開発

システムやアプリなど製品を開発する際、顧客から依頼されたシステムを開発する受託開発に対して、自社で製品の企画からプログラミング、保守まですべての工程を行うこと。顧客のニーズに柔軟に対応できる、スケジュール調整がしやすい、各工程で社内のコミュニケーションが取りやすい、エンジニアの視点からアイデアが活かせる、アイデアを採用されることでエンジニアのモチベーションも高まる、開発後の運用やバージョンアップも担当することで幅広い知識が身に付くといったメリットがある。

株式会社コーエイコンピューターシステム

住所
香川県坂出市旭町一丁目1-27
代表電話番号
0877-44-1668
設立
1989年
社員数
37人
事業内容
オリジナルソフトウェア及びコンピューターシステムの企画・販売・保守・機器販売
(主に医療関係・食育・特定保健指導・栄養管理を中心としたソフトウェアの販売・ネットワーク構築・機器販売)
沿革
1989年 創業(主目的はパソコン教室、業務用ソフト開発)
1991年 「EIBUN養護学校版(現特別支援学校版)」発売
1996年 有限会社コーエイコンピューターシステムとして企業登記
1997年 株式会社に組織変更
2003年 東京支店 出店
2005年 ソフトウェア企画開発部門を株式会社フリースタイルとして分社
資本金
3000万円
拠点
東京本社、名古屋支店、大阪支店、広島支店、福岡支店 他
グループ
株式会社フリースタイル(ソフトウェアの企画・開発)
地図
URL
https://tera-net.co.jp/koei/
確認日
2023.09.21

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