島の暮らしに寄り添い
一緒に未来を考える

粟島までは、三豊市詫間町の須田港から15分ほどの気軽な船旅。周囲約23キロの小さな島に、粟島芸術家村や漂流郵便局などのアートプロジェクト、夏の風物詩・海ほたる、粟島海洋記念館が象徴する海洋文化、そして何よりも豊かな自然の魅力が息づいている。

しかし一方で島は人口の減少が続き、既に住民は100人以下。島のポテンシャルを活かす活性化が課題となる中で、三豊市の委託を受けて2025年4月から島の宿泊施設「ル・ポール粟島」の運営を担っているのが本気モードだ。ふるさと納税の管理運営などで市と連携が深く、ル・ポール粟島の運営も、収益を出すビジネスというより地域課題の把握につながる重要な取り組みの一つととらえる。

島外向けには、観光客を迎える主要宿泊施設として、若手を中心にSNSで島の魅力を発信。国内だけでなくアジア圏からの注目も高まっている。島内向けには、住民の生活に寄り添い支える「顔が見える関係」の構築を重視。地域の人にはル・ポール粟島のランチを半額で提供するなど、入りやすい店づくりに力を入れているほか、緊急時のサポート体制も整備。不測の事態にもすぐに対応できるよう、管理職クラスは新たに船舶免許を取得した。

発信力の強化とともに、交通や受け入れのインフラが整えば、人の往来も増えていくはず。現場を担う若手たちにとっては、取り組みを通じて自分のやりたいことを実現するチャンスでもあり、モチベーション高く参加している。