お金との付き合い方

メロディ・インターナショナル CEO 尾形 優子

column

2015.08.06

皆さんはお客様に、商品を買ってほしいとすんなり言えますか。私はどちらかと言えば、いきなり商売の話をするのは性に合わず、なかなか切り出せないタイプだ。

経営者にはベンツが好きなタイプとBMWが好きなタイプがいる。ベンツを好きなほうが経営に向いていると言われる。主観的ではあるが分類してみると、ああなるほどと納得してしまうので不思議だ。私は経営には向かないBMW派である。更にダメ押しされるのであるが、理系は商売に向かないと決めつけられる。

「お金はさみしがり屋で逃げ足が速く純粋である」。これはお金のことをとても理解し、私に出資までしてくれた経営の師匠から教わった言葉である。ここでのお金は数字上のものではなく、紙幣であるお金の性質を指している。お金は、たくさん仲間がいるところでは安心していつまでもそこにとどまろうとする。お金は、こちらから追いかけるとダメで、ちゃんと入って来られる仕組みを作ってあげなくてはいけない。

そしてお金には私欲も邪念もなく、打算や掛け引きもない。ビジネスをやる以上、キレイ事ではなくお金と良い関係を保つことが不可欠である。私はこのような性質を持ったとても純粋なお金と付き合っていけそうな気がしてから、ビジネスがやや分かりだした。

高収益企業であるためには、商品の付加価値と販売におけるお客様満足度をキープし続ける必要がある。ある意味「囲い込み」は一人勝ちをイメージさせるのであるが、その名が示すように領域を限っているように見え、実際に市場を有限化させる。一度そのメーカーのものを買ったら同じメーカーを買い続けるというのは神話だ。

一方これまでの医療業界における価格の考え方にはかなり不思議なものがあり、定価がかなり高くて、お客様に渡る時には40%から50%の値段になる。「大幅値引き」はその時限りはうれしいものであるが、結局はその価値がないというのを強調しているようなものだ。値崩れを引き起こす元となる。

私が経営を始めた頃、「囲い込み」も「大幅値引き」も当たり前であった。大変苦しい経営の時代を経て、本当の意味での付加価値やお客様満足度を評価してくれる時代となった。

このたび、周産期電子カルテ開発を手掛けるミトラを退職し、新たにメロディ・インターナショナルを立ち上げた。遠隔医療の夜明け前。今、産官学の連携が重要だ。このタイミングに「産」のピースを埋めるため起業した。僻地、島嶼部の妊産婦さんに安心を届けるための仕組みを、世界で実証し、日本で花咲かせたい。

メロディ・インターナショナル CEO 尾形 優子

写真
メロディ・インターナショナル CEO 尾形 優子

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ