7月、メロディ・インターナショナル株式会社設立直後、小野さんからスポンサーになってほしいという話があった。しかし自身がゼロから出発の時、先立つものがなかった。彼は一生懸命、何種類かのドローンやその特徴、そしていかに人々に役立つかをプレゼンしてくれた。そこには、以前私がドローンによる遠隔医療の可能性について話していたことを、大きく織り混ぜてあり、それが私の心に響いた。
そして2015年9月15日、離島・へき地・山間部における小型無人機"ドローン"利活用推進プロジェクト「瀬戸内かもめプロジェクト」は、日本初の遠隔医療実証実験を伴う飛行テストを行い、我が社はカモメ・メディカルとして加わった。春に首相官邸にドローンが落ちる事件もあり、世の中では「ドローンって一体何?危ないもの?」という印象も強い中だったが、私は「もしかしたらドローンが遠隔診療の救世主となるかもしれない」と将来の可能性を夢見た。
昨年8月、長らく規制で縛られていた遠隔医療が事実上解禁となった。しかし、薬の受け取りのために薬局や病院に行くのでは、せっかくの遠隔医療も生かされない。香川県は日本一小さな県だが、多くの離島、へき地、山間部を抱える。そこでまず、島の人々の薬をドローンで運びたいと考えた。小野さんの考えるドローンは、カモメの宅配便である。海の上を自在に飛ぶカモメが薬を運んできてくれて、かかりつけの薬剤師さんがネットを通じて、薬の説明や飲み方について指導してくれる。これなら、病院や薬局に行かなくても遠隔医療が可能である。
ドローン元年、何年か後にはドローンがトラックの代わりに無人で荷物を運ぶ時代が来るかもしれない。小野さんはそれを実現しようとしている。私たちは、小野さんと協力して、カモメ・メディカルの実証事業に取り組んでいこうと思う。そして今、小野さんは未来のカモメを一羽調達しようとしているところである。
以上で私の「瀬戸標」連載が終わります。読者の皆様に何かを残せたなら嬉しく思います。おつきあい頂き、ありがとうございました。
メロディ・インターナショナル CEO 尾形 優子
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