
干物
「おいしい干物を食べてほしい」。その一心で商品開発を重ね、誕生したのが「魚屋さんのうまいっ白だし」です。一見、干物とは関係のないように思える白だしが、詫間水産の干物作りに大きな変化をもたらしました。


何とかしておいしい干物を作れないかと考えていたとき、ヒントになったのは燧灘で取れるカタクチイワシの煮干し「いりこ」だった。いりこを買うと、ときどき小さなイカやエビが交ざっていることがあった。「あの小さなイカがおいしいのは、いりこと一緒に蒸し上げるからだろうと思いました。そうだとすれば、いりこだしに漬けた干物も絶対においしいはずだと考えました」。新しい干物作りのスタートを切った。
まずは、詫間水産オリジナルのだし作りを始めた。いりこはえらや内臓を丁寧に取り除き焙煎してから、だしを取る。試行錯誤の結果、昨年9月に「魚屋さんのうまいっ白だし」が完成した。早速、10月に開催された三豊市の食のイベント「みとよマルシェ」に出品。来場者によるお気に入り投票で、840票のうち262票を獲得し、第1位に輝いた。
白だしはそのまま調味料として使える。魚の煮付け、カルパッチョのソース、野菜の浅漬けなど用途はアイデア次第。薄めてうどんのつゆに、こしょうを利かせればラーメンのスープにもなる。
もちろん干物も忘れてはならない。「いりこだしに漬けた干物は、全国的にみても珍しいのでは」。塩漬けに加えて、白だしに漬けたイカ、カマス、ホッケなどを売り出し中だ。中でも金子さんのお薦めはつぼ鯛。水分が抜けて引き締まり、脂が乗った肉厚の身とパリッと焼いた香ばしい皮。焦がさないよう火加減に注意して焼く。おいしく食べるコツはこれだけだ。
「今後は県内企業と共同で商品開発をしてみたいですね。お好み焼きや焼きそばなどに白だしを使って、
『讃岐風』にするのも面白そう。家庭で、飲食店でどんどん使ってほしい」。海の恵みとうま味がたっぷり詰まった新しい店は、多くの人でにぎわいそうだ。
金子 明憲 | かねこ あきのり
有限会社 詫間水産
- 住所
- 香川県三豊市仁尾町仁尾辛43-15
- 代表電話番号
- 087-582-3999
- 地図
- 確認日
- 2013.05.02
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