
各地のニュースや話題を、メディアやSNSで追っていますと、全国各県で「うちに来て」「うちが日本一」という、さながら戦国時代の様相を呈しています。しかもどれもこれも似たような内容で・・・。すでに日本も「都会VS各地方」ではなく「地方VS地方」の地域間競争が始まっておりますが、同質化の競争の中では補助金頼みの投資競争か値引き競争にしかなりません。ふるさと納税の一部が県対抗のお得通販合戦になったのと同じです。「どこかで聞いたようななんとかパーク」を造ったところで、四国が投資力的にもマーケット的にも立地的にも他の地方に勝てる道理がありません。
グルメにしても景観にしてもレジャーにしても、都会からの「田舎とはこういうもの」という視線であざとく型にはめて演出していれば、結局の所、全国どこもかしこも同じものになってしまいます。下手に構えず「ありのままを残してありのままに見せる」方が四国らしいオリジナリティーを打ち出していけはしないでしょうか?見知らぬ山村や離島を訪れた際に、すれ違うおじいちゃんおばあちゃんが接客スマイルで「いらっしゃいませ」…なんかへんでしょ。それよりも、家の陰に隠れてこっちを伺いながら「誰が来たんかいの?」とひそひそ話(笑)…こっちの方が、リアリティーがあると思ってくれる人だけに世界中から訪れてもらった方が先行き面白いのかもしれません。
こういったオリジナルの感性を守り育ててPRしていけるのは人材です。それもスマートなコメンテーターやネットのデザイナーではなく、必要なのは、地域に根を張り近所のじいさまばあさまを敬いつつも引きずってでも前にすすめていく(笑)人間力のあるリーダーと、他に類を見ないぶっとんで面白い発案ができる異能の人です。地域で子供の頃からそういった「人間力」と「異能」とを育て、なおかつ周りで「あやして」四国に残ってもらわねばなりません。お金を出して「甘やかす」のではなく、やる気にさせる「あやし」です。そして最も育むべきは「郷土のこと」ではなく「郷土の人」を好きになる「郷土愛」だと思います。同質化の中での瀬戸際競争ではなく、何もない野っ原に標(しるべ)を創る人の育成です。
四国なんでも88箇所 巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也
- 略歴
- 1960年4月5日 高松市生まれ
1979年 高松高校 卒業
1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科 卒業
株式会社西武百貨店 入社
1986年 株式会社久本酒店 入社
1992年 代表取締役社長 就任 - 写真
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