ポイントはフィルム内部に気泡を入れる「発泡技術」。空気は熱伝導率が低いため、気泡がある方が持った時に熱を感じにくい。これを冷凍食品の包装に応用した。開発を進めるうち、気泡の新たな利点も見つかった。温められて袋が膨らむと、気泡と気泡の間の薄くなった部分がつながって蒸気口となり、そこから蒸気が抜けるため、袋が破裂しないのだ。しかも、蒸気口は微細なので一気に蒸気が抜けず、高い蒸らし効果があった。さらに、蒸気口は温度が下がると閉じるため、食品が乾燥しにくいという。
一方でフィルム内部に気泡がある分、印刷の美しさと強度に課題があった。そこで、このフィルムの外側に特殊な樹脂を加えたフィルム、最も外側に商品名などを印刷したフィルムを重ねた三層構造にした(図)。熱と圧力が加わると、真ん中のフィルムが外側のフィルムからはがれて隙間ができるよう樹脂素材を設計。この隙間から蒸気が抜けるという。
形はピロー型、三角すい型など自立できるものもある。「お客さまの要望に応える形状研究と、さらなるコストダウンを目指す」と品質管理室の河野博さんは言う。また、材料を入れて温めるだけでカレーなどの調理が簡単にできるほか、袋を容易に広げられることでお皿としても使える。そこで、今後は調理パックとしての販売など様々な可能性を探る。
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