「鋳造」の枠を超え 新たな価値を生み出したい

株式会社ツチヨシ アクティ 専務取締役 九十九太治さん

Interview

2022.06.02

1933年創業。初期は材木をメインに扱い、ベントナイトやデンプン、樹脂を使って砂を型にする技術を確立したこと、その技術が大手自動車メーカーのエンジン鋳造に採用されたことが、事業のルーツとなった。「材木のイメージは薄れましたが、高松市の老舗料亭『二蝶』の文化財建築にも当社の材木が使われているそうです」と九十九さん。

現在は、素形材・鋳造・生産技術・研究の4本柱を軸に事業を展開。「鋳造とは太古のものづくりから受け継がれてきた技術の一つ。自動車、船舶、農機、建機、広くはインフラ、古くは奈良の大仏まで、多種多様な産業が対象です」。それらの鋳造の「工程」にアプローチするのが同社の仕事。「型に使った砂は再利用し、鋳物も再度溶かせば違う役割に生まれ変わりますから、循環するエコな産業でもありますね」
二蝶さんとの縁は最近判明して驚いたそう

二蝶さんとの縁は最近判明して驚いたそう

素形材とは、素材に熱や力を加え、部品として形を整えたもの。同社が扱う素材は「珪砂」で、バイオマス発電の燃料を効率よく燃やしたり、家庭に届く安心・安全な水の浄化に使われたりする。また、プラスチックにとって代わる可能性があるガラスの材料としても期待されており、ウイスキーやドリンクのボトルに採用する大手酒造・飲料メーカーからは「お酒の色が映える」「瓶にラグジュアリー感が出る」などと好評だ。

溶かした合金を流し込む型にも、砂は使われている。特に空洞のある鋳物をつくるのは、製品を固めた後で崩すことのできる砂型にしかできない。砂、ベントナイト、樹脂、合金など鋳造に必要な資材全般を扱う鋳造部門と、設備機械の設計・メンテナンスも手掛ける生産技術部門が、鋳物メーカーのものづくりを支える。

先行きが不透明で将来の予測が困難な「VUCA時代」に応えるため、新しいものを生み出す研究開発の核となるのが、研究部門だ。1400度の熱に耐える砂型でも難しかった鋳鋼の鋳造には、砂型の強度・耐火度を上げる塗装技術「塗型」を確立して応えた。世界各地の砂の分析や、用途別の適性を調べるといった基礎的な研究も進めている。
砂の特性は産地によってさまざま

砂の特性は産地によってさまざま

「あらゆる分野にかかわる私たちは、より広い視野で効率化などをデザインできるのが強みです」と語る九十九さんの課題は、そうしたコンサル業務を担える“人財”の育成。30代以下の社員で次世代創造委員会をつくり、明確なビジョンを持って成長できる風土をはぐくんでいる。

九十九さん自身、上級鋳造技士の資格者だ。電気電子工学を修め、アメリカ留学や国内大手電機メーカーでの経験を経て、12年前にツチヨシ アクティに入社。国際青年会議所の活動にも携わって世界各地で人脈を広げた。「あちこち首を突っ込んで、吸収したことを応用できないか考えるのが好き。思いがけず自分に深いゆかりのある物事に出合うことも多くて、不思議なご縁を感じます。出会いを大事にしながら、まだまだ学び続けていきたいですね」

九十九 太治 | つくも たいぢ

略歴
1984年 高松市生まれ
2010年 株式会社ツチヨシ アクティ 入社
2022年 専務取締役

株式会社ツチヨシ アクティ

住所
香川県東かがわ市大内200番地16
代表電話番号
0879-23-1771
設立
2000年12月5日
社員数
80名
FAX
0879-25-7790
地図
URL
http://www.tyco-acty.co.jp/
確認日
2022.06.02

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