多業種のものづくりを支える「付加価値の高い砂」

「鋳造」を事業の軸とし、原料調達から生産技術・研究開発まで幅広く手掛けるツチヨシ アクティ。同社の中で唯一、鋳造以外の業種開拓を担うのが高松事業所だ。

同社が鋳物の型などに使う「硅砂」は、世界各地の産地によってさまざまな特性があり、顧客のニーズに応じて使い分けている。高松事業所は鋳造用とは別の「工業用硅砂」約10種を主な商材とし、その用途は飲み水のろ過、飲料用のガラス瓶の原料、ゴルフ場やサッカー場の芝生管理、発電所や化学工場でのニーズなど、生活インフラを広くカバー。特定の顧客と長い関係を育む鋳造部門に比べて新規顧客が多く、営業エリアも全国に及ぶ。

強みは日本国内だけでなく世界各国から調達した砂を「細目」「中目」「粗目」に丁寧にふるい分け、顧客が求めるサイズの粒子にそろえて提供できること。「ふるい分けまでする工場は国内にも少ない。質の高い砂を複数取りそろえ、ものづくりしやすい状態に整えて、多品種少量ニーズにもきめ細かく対応できるのが、当事業所のストロングポイント。コストをかけてでも利用したいと求められる、付加価値の高いものづくりで成長してきました」と、松原正明所長。

原料となる砂を再利用も含めて有効利用するために、同業他社と調達・販売のマッチングを進める業界ネットワークも構築中。松原さんは「当社では用途がない砂も、他社のニーズにはヒットするかもしれません。互いに協力し合い、砂という限られた天然資源の可能性を追求したいと思っています」と意気込む。