"後継者"の立場から考える事業承継

~何から着手すべきか?~

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2023.09.07

事業継承の問題は「いかに後継者を探すか」「スムーズに承継するには」という現社長からの視点で語られることが多かったかもしれません。今回のコラムでは、“後継者”の立場から事業承継やその課題について考えたいと思います。

《どんな問題が起きるのか》

後継者にとって、経営者としての生き方を体現する身近な存在が親である先代社長ではないでしょうか。しかし、生き方をそのまま学ぶことはできませんし、学んだとしても今の時代は、先代社長のように先頭に立って采配を振るったところでうまくはいかないことが多いものです。その結果「会社の課題解決のために、どんなに頑張ってもだれも賛同してくれない」という状況を多くの後継者が承継後に経験します。

「人望こそ大事」と、先代社長が後継者と古参幹部や従業員との交流を図る、現場になじませる、あるいは、会社の成長に向けた中期経営計画や新規事業計画を立てて後継者としての存在感を示そうとするかもしれません。こうしたさまざまな施策は、多くの場合失敗に終わるのです。

それはなぜか—―。何をするべきかだけではなく、その"順序"が大事だからです。

《どんな順序で進めるべきか》

後継者が事業を引き継いでから実践すべきことを、会社を1つの「バス」に見立てて5つのステップで説明し、その順序ごとに一つひとつ着手するようセミナーなどではお伝えしています。

最初はバスに誰を乗せるかを決めることです。具体的には「自社のカルチャーの見える化」です。これは過去のカルチャーを捨て、新たに自分のカルチャーを作り、新しいカルチャーに合う人材を選択するということです。

次にバスの「席割り」を決めることです。人事評価制度の見直しと次世代幹部の育成を行います。さらにバスの「空席」を埋める。自社の5年後を引っ張る人材を採用することです。しかし、すぐに人が採用出来ない場合は社内のDX化を検討していくことも一つの方法だと思います。ここまできてようやく、バスの行き先を決めます。中期経営計画の策定です。最後にバスのサイズを拡大する。ビジネスモデル変革やM&A、新規事業などがこれにあたります。

なぜこのような順序で進めるべきか——。それは、順序を間違えると「誰も協力してくれない」からです。急いで「バスの行き先」や「バスのサイズを拡大」するのではなく、「バスに誰を乗せるか?」からスタートすること。順序を意識して改革を進めることで、事業継承をスムースに進めることができます。

後継者として事業を引き継いだら、「自社のカルチャーの見える化」からスタートしてみてください。

ストロングポイント株式会社 代表取締役 加賀 隼人

加賀 隼人| かが はやと

略歴
1979年 愛知県生まれ 高知県育ち
2004年 デロイト・トーマツ・コンサルティング 入社
    名古屋支社長、大阪支社長を歴任
2014年 同社 退社
    ストロングポイント株式会社 創業
現在は、香川・愛媛・高知・岡山・大阪・東京を拠点に事業を展開
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加賀 隼人| かが はやと

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