6割の1,563社で女性役員がゼロ

上場企業2,375社「女性役員比率」調査 東京商工リサーチ

Research

2018.09.20

2018年3月期決算の上場企業2,375社の役員総数は2万7,526人(前年2万7,843人)。このうち女性役員は1,049人で、役員全体のわずか3.8%に過ぎない。また、1,563社はまだ女性役員がゼロだった。

※本調査は東京証券取引所など、すべての証券取引所に株式上場している企業のうち、18年3月期決算の企業を対象に各企業の有価証券報告書の役員状況に記載されている男性・女性の人数を集計、分析した。本調査の「役員」は、「会社法上の取締役、執行役および監査役など」とした。業種分類は証券コード協議会の定めに準じる。

登用への動きは緩やか

上場企業2,375社の役員数は、男性は2万6,477人に対し、女性は1,049人だった。女性役員比率は3.8%で、構成比は前年の3.3%(933人)から0.5ポイント上昇した。また、女性役員が一人もいない企業は1,563社(構成比65.8%)で、前年の1,646社(同69.3%)から83社減少し、女性の役員登用に向けた動きは緩やかだが進んでいることがわかった。

最低は建設業の2.0%

業種別の女性役員比率で、最高はサービス業の6.0%(前年5.2%)。次いで、小売業、金融・保険業、電気・ガス業、不動産業と続く。女性役員比率が最高だったサービス業は、役員総数1,991人(前年1,988人)のうち、女性役員は121人(同105人)を占めた。

女性役員ゼロを業種別にみると、最高は建設業で77.0%(131社中101社)と8割近くを占めた。女性役員比率も2.0%で全業種で最も低かった。
東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

上位は介護、化粧品

女性役員比率では、札証アンビシャス上場の光ハイツ・ヴェラスが57.1%で最高。同社は北海道内で老人介護ホームを運営し、役員総数7人のうち半数を超える4人が女性。2位はスキンケアなど高級化粧品の製造販売、東証1部のシーボン50.0%で役員総数12人のうち半数の6人が女性。女性比率が50.0%を超えた2社は、ともに事業内容に加え代表者が女性で、女性の役員登用への抵抗が少ないようだ。
東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

政府は、女性が企業の意思決定に関わることで多様な価値観が企業経営に反映し、多様な価値観を受容する組織ではイノベーションが促進されるとの見解を示している。

1986年4月の男女雇用機会均等法施行から32年が経過。女性の役員登用は端緒についたばかりで、女性登用の遅れた業種、サービス業など進んだ業種と明暗を分けている。労働力減少を背景に、多様な勤務形態が求められており、女性の社会進出、役員登用の促進が期待される。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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