売上・利益ともに10年間で過去最高

全国未上場建設業2017年度業績調査 東京商工リサーチ

Research

2018.12.20

株式未上場の建設会社、全国13万8,645社の2017年度の売上高合計は62兆5,909億円(前期比2.2%増)で、リーマン・ショックが発生した08年以降の10年間で最高を記録した。また、利益合計は1兆9,588億円(同12.7%増)と、10年間で最少だった08年度(2,159億円)の約9倍に伸びたことがわかった。建設業界は、首都圏の再開発や東京五輪・パラリンピックに向けたインフラ整備など大型案件に加え、外国人客の増加でホテル建設などの民間投資も活発に推移し、好調な環境が続いている。

※東京商工リサーチ(TSR)が保有する国内最大級の企業データベース(約480万社)を活用し、主業種が「建設業」のうち、07年度(07年4月期~08年3月期)から17年度(17年4月期~18年3月期)まで、11年間の単体の業績比較が可能な未上場建設会社、13万8,645社を抽出し、分析した。

インフラ整備、大型工事が牽引

売上高合計は62兆5,909億円で、16年度の61兆2,114億円より2.2%(1兆3,795億円)増加。東日本大震災後の11年度以降、7年連続で前期を上回り、過去10年間で最高となった。復興需要のほか、東京五輪・パラリンピックに向けたインフラ整備、首都圏を中心とした商業施設やビルの大型工事が売上高を牽引した。利益合計は1兆9,588億円で、前期(1兆7,374億円)より大幅に増加。リーマン・ショック以降、地場大手の建設会社を中心に選別受注を強め、採算性が大幅に改善した。

業種別の売上高は、総合工事業が34兆4,725億円で、前期(33兆5,399億円)より2.7%増加。また、職別工事業(大工工事、鉄骨工事、塗装工事、内装工事など)は11兆4,219億円で、前期(11兆1,773億円)より2.1%増加。設備工事業(電気工事、管工事、機械器具設置工事など)は16兆6,965億円で、前期(16兆4,941億円)より1.2%増加した。
東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

地区別の売上高では、9地区のうち8地区で前期を上回った。増収率では、北海道が前期比5.7%増で最も高かった。次いで、九州、北陸の順。北海道は、インバウンド効果によるホテル建設や札幌市内の再開発など活発な民間受注や、「平成28年北海道豪雨災害」の復興需要が売上高を牽引した。四国は前期比1.4%増だった。

一方、東北は前期比0.5%減と、9地区のなかで唯一、前期を下回った。復興需要のピークアウトで工事案件の減少が大きな要因となった。

2020年の東京五輪・パラリンピックやリニア建設、大阪万博など、各地で好材料が控えているが、一方では人手不足や資材高騰、下請けの確保という課題が深刻さを増している。さらに、今回の調査では東北の売上減など、地域間格差も見え始めた。今後、建設業者はどう受注を確保し、採算性を維持するかがカギになっている。そのためには海外案件の取り込みや外国人労働者の受け入れなど、建設業界が対応を迫られる課題は多い。

四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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