高齢代表者の休廃業・解散が増加

2018年休廃業・解散企業動向調査 東京商工リサーチ

Research

2019.02.21

2018年に全国で休廃業・解散した企業は4万6,724件(前年比14.2%増)だった。増加したのは16年以来2年ぶり。18年の企業倒産は8,235件(同2.0%減)と、10年連続で前年を下回ったが、休廃業・解散は大幅に増加した。休廃業・解散と倒産した企業数の合計は判明分で年間約5万5,000件に達し、全企業358万9,000社の1.5%を占めた。

※東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義。17年新設法人数は、18年5月23日発表「17年『全国新設法人動向』調査」(TSR)に基づく。全企業(大企業と中小企業・小規模事業者)数は、中小企業庁18年11月30日発表に基づく(16年6月時点)
東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

「休廃業・解散」の従業員13万超

18年に休廃業・解散した企業の従業員数(判明分)は13万3,815人(前年比24.1%増)で、2年ぶりに増加した。事業譲渡に伴う休廃業・解散もあり、全従業員が失業したわけではないが、休廃業・解散で13万人超が勤務先の変更や離職を余儀なくされたことになる。

10産業のうち9産業で増加

産業別では、最多は飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の1万3,698件(構成比29.3%)。建設業の9,084件(同19.4%)、小売業の6,508件(同13.9%)と続く。参入障壁が低い産業は新規参入が多いが、その分競合も激しく退出が進む新陳代謝が目立つ。
東京商工リサーチ調べ

東京商工リサーチ調べ

年齢別 70代にシフト

休廃業・解散した企業の代表者の年齢別(判明分)は、70代が最も多く37.5%だった。次いで、60代の29.0%、80代以上の17.1%と続き、60代以上が全体の83.7%を占めた。

16年まで60代の構成比が最高だったが、17年から最多は70代にシフト。18年は60代の構成比が前年より3.9ポイント低下する一方、70代以上は4.4ポイント増加し、80代は17.1%で50代を6.8ポイント上回った。事業承継の遅れや経営者の高齢化が休廃業・解散に至る大きな要因であることを示している。

休廃業・解散した企業のすべてが生産性に課題を抱えているわけではない。業績好調ながら後継者難で事業継続を断念するケースもある。また、地方ほど地域の雇用や経済に影響を及ぼすケースも少なくない。

中小企業庁は、17年度を初年度とする「事業承継5カ年計画」を策定。各都道府県に事業承継ネットワークを展開し、事業承継診断を含むプッシュ型の支援などに取り組んでいる。同時に、事業承継税制を拡充し、18年度より法人資産の承継では贈与税・相続税の猶予割合を80%から100%へ引き上げた。19年度には個人企業にも拡充される見込みだ。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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