子どもたちよ 大志を抱け!

ビッグ・エス インターナショナル 社長 大坂 靖彦さん

Interview

2018.02.15

「ドリームシッププログラム」で作成された「夢・志計画」を説明する大坂さん =高松市番町のビッグ・エス インターナショナル香川オフィス

「ドリームシッププログラム」で作成された「夢・志計画」を説明する大坂さん
=高松市番町のビッグ・エス インターナショナル香川オフィス

「夢や志はあるか?」

子ども向けの啓発セミナー「ドリームシッププログラム」が4月に高松市で開かれる。子どもたちが夢を描き、その実現を親子で目指していこうという希望あふれるプログラムだ。

仕掛人は、日独の国際交流などを行うビッグ・エス インターナショナルの社長で、経営塾「大坂塾」を主宰する大坂靖彦さん(73)。全国600人以上の経営者を塾生に持ち、“カリスマ経営者”と呼ばれる実業家だ。「大坂塾での指導や、国内外の小中学校や大学で行ってきた講演をベースに、リメイクしたのがドリームシッププログラムです」
「大坂塾」で講義する大坂さん(左)

「大坂塾」で講義する大坂さん(左)

大坂塾で様々な経営者と接する中では子育ての悩みを持ち掛けられることも多く、大坂さん自身も日頃からもやもやした感情を抱えていた。「中学校や高校で講演した際、『海外へ行きたいか?』『リーダーになりたいか?』と尋ねても、ほとんどの生徒が手を挙げず、周りの様子をうかがっているんです」
「何かが違う」と感じていた。「自分の意志を表に出さない・・・そもそも志を持っていないんじゃないか」。居ても立ってもいられなくなり、作成したのがドリームシッププログラムだった。

プログラムの対象は小学4年生から中学生までで、参加費は1000円。「自分を知る」「夢を見つける」「実現への計画を立てる」の3つのステップから成る。「大切なのが『内観』、自分の内面を見つめることです。生まれてきた時の様子、初めてできた友達の名前、夢中になったことなど、家庭で親と一緒に過去の自分を振り返ります」

自己分析した後は、参加者が一堂に会し、4時間掛けてワークショップを行う。将来の夢を掲げ、実現させるための計画を親子で練り、決意表明する。「例えば宇宙飛行士を目指すなら何が必要か。これまでより1時間早く起きて英会話を勉強しようなど、日常の行動の改革がそこから始まります」

さらにワークショップでは具体的な職業も紹介する。「ラッピングデザイナー、隕石ハンター、捕鯨調査員・・・・・・世界には約3万種類の職業があるとされるが、知っている職業はごくわずか。様々な仕事を知ることで子どもたちの可能性がグッと広がります」。欧米では、クライアントから要望を受け、珍しい植物などを求めて世界中を駆け巡る「プラントハンター」が活躍しているという。「もし私が30年前にこの仕事を知っていれば、プラントハンターになっていたかもしれない」。大坂さんは笑顔で話す。

ヒッチハイクで貧乏旅行

夢を持ち、実現へ向けて計画を立てる。それはまさに大坂さんの人生そのものだ。

中学時代、たまたまアメリカ映画で広い芝生の庭とプール付きの大邸宅を目にした。「よし、僕も海外へ行って社長になって、こんな家を建ててみせる」。初めて抱いた夢だった。

海外へ行くには語学が必要だ。高校時代、憧れたドイツへの留学を目指してドイツ語を学び、留学試験に挑んだ。だが、ことごとく失敗。それならばと、ヒッチハイクで世界を巡る旅を計画。横浜港からソ連に渡り、シベリア鉄道でドイツを目指した。「ドイツにたどり着いた時は『やっと夢が実現した』と大興奮しました」

使うお金は1日1ドルと決め、1年間でドイツを始め24カ国を回った。「お金もない、言葉もろくに通じない。みじめなことも多かったが、人生の基礎を今作っていると自分に言い聞かせた。この経験や考え方がその後の人生のエネルギーになりました」

大学卒業後、松下電器産業のドイツ駐在員を経て1972年に家業の電器店に入った。社員4人、年商は7000万円。大坂さんは「社員を100人に、売上を10億にする」という計画を立てた。

店をフランチャイズ展開し大型量販店へと変貌させ、時代を読んで提携先も柔軟に替えた。「まちの電気屋さん」は37年後に、社員800人、年商340億円にまで成長。さらに100円ショップ、酒類販売など異業種へも事業を拡大させた。大坂さんは現在、高松や東京の他、アメリカ西海岸にも家を構えている。「半世紀以上掛かったが、中学時代の夢を叶えることができた。夢は力になり、計画は実績をもたらしてくれる」と力強く語る。

まずは心に火を灯す

「ドリームシッププログラム」第1回セミナーに参加した子どもたち=昨年10月、岐阜県関市

「ドリームシッププログラム」第1回セミナーに参加した子どもたち=昨年10月、岐阜県関市

「ドリームシッププログラム」は昨年10月、岐阜県関市で初開催し、100人以上の親子が集まった。「小説家になりたい」「国連で働きたい」「諦めかけていた夢に、もう一度挑戦してみる」・・・・・・子どもたちの様々な声が聞けたと目を細める。

第2回は4月1日に地元高松で開催予定だ。参加する子どもたちに「夢は見るものではなく叶えるもの。そのために、まずは心に火を灯すことが大切」とメッセージを送る。

大坂さんは自分の寿命までも計画立てている。命日は2033年4月4日。89歳の誕生日に人生を終える予定だという。「いつ死ぬかを決めると、長期スパンでものを見るようになるので、問題の予兆を捉えて先手を打つことができる。そうすると、成功の確率が大幅に上がります」

毎年テーマを掲げて日々を送る。今年はドリームシッププログラムの本格稼働に全力投球。高松に続き、5月にはベルリンの在ドイツ日本国大使館でも実施する。「子どもたちに夢を与えること。それが今の私の夢ですね」

現在、73歳。大坂さんはまだまだ、夢の途中だ。

夢・志プロジェクト「ドリームシッププログラム」
 と き・・・4月1日(日)11:00~15:50(受付10:40~)
 ところ・・・高松商工会議所(高松市番町)
 対 象・・・小学4年生~中学生
     (参加費1人1000円 ※保護者同伴)
参加希望者はhttp://www.bigs-i.com/dsp/から申込書をダウンロード。必要事項を記入し、指定の窓口で申し込みを。問い合わせは e-mail:info@bigs-i.com まで

1/3

篠原 正樹

大坂 靖彦 | おおさか やすひこ

略歴
1944年 静岡県浜松市生まれ
1963年 高松大手前高校 卒業
    上智大入学後、欧州など24カ国を
    アルバイトしながらヒッチハイクで無銭旅行
1968年 上智大学経済学部 卒業
    松下電器産業(現パナソニック) 入社
    ドイツ・ハンブルク駐在員 
1972年 大坂屋(現ビッグ・エス) 入社
1988年 代表取締役
2006年 ケーズホールディングス 常務取締役
2007年 ビッグ・エス インターナショナル 設立
    代表取締役
2010年 大坂塾 開講
2017年 第1回ドリームシッププログラム 開催
写真
大坂 靖彦 | おおさか やすひこ

非営利株式会社ビッグ・エス インターナショナル

住所
香川オフィス:高松市番町4-2-19
TEL.087・863・6888/FAX.03・6745・1494
東京オフィス:東京都江東区有明1-4-11-3217
TEL.03・4405・5199/FAX.03・6745・1494
活動内容
夢・志プロジェクト
「ドリームシッププログラム」、
日独友好交流会、
日独スピーチコンテスト等の開催、講演活動、
中小企業経営塾「大坂塾」の運営 他
URL
http://www.bigs-i.com/
確認日
2018.02.13

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ