海外勤務で培った広い視野 強さと優しさの両立が理想像

香川県警察本部長 警視庁 筋 伊知朗さん

Interview

2013.06.20

「香川は万葉集にも出てくる歴史的な場所。南に山、北に海と、息を飲むような景色を毎日眺められることはうれしいですね」。今年2月に就任。ワンマン列車の走る風景ものどかで気に入っている。

「さぬきうどんはよく食べます。麺類は単身赴任者にはありがたい食事ですよ」

体力づくりに剣道

大学時代は剣道部に所属し、在学中に三段を取得した。今年に入って、久しぶりに剣道の練習を再開。職員らの練習に参加すると、「掛かり稽古」では行列ができた。

休日も県内で過ごす。東京から妻が来た時は、栗林公園や金刀比羅宮、善通寺、県立ミュージアムなどを巡った。中でも、お気に入りは栗林公園。年間パスポートを購入し、散歩がてらたびたび訪れている。歩くごとに表情を変える「一歩一景」に加え、庭園の静けさも魅力に感じた。「夜桜のライトアップがきれいでした。今から秋の紅葉が楽しみですね」。デスクワーク中心のため、意識して体を動かすようにしている。

自宅では新書や小説などの読書を楽しむ。小説はジョン・ル・カレや藤沢周平の作品を読む。話題の警察小説、横山秀夫の「64」も読んだ。「実際の現場とはもちろん異なる部分もありますが、フィクションとして楽しみました。ただ、警察内部の人間関係はもっと穏やかですよ」と笑う。国家公務員試験の合格後、警察庁入庁を希望したのは、人を大事にする温かさを感じたからだという。

思い出に残る海外勤務

海外調査勤務でイギリス、アメリカに滞在、外務省への出向でイスラエル大使館に勤務した経験がある。アメリカでは、ナッシュビルに滞在。まちを挙げて地元大学のスポーツチームを応援する「カレッジスポーツ」の熱気に圧倒された。

イスラエルには家族を伴い渡った。一等書記官として、日本大使館を訪れる要人を迎えたり、イスラエルの情勢を日本へ報告したりなどの任務に当たった。「地中海に沈む夕日が印象的ですね」。3年間の勤務経験は、深く心に刻まれている。「文化も何もかも違う場所で過ごした時間は、貴重な経験。『世界は広い』と肌で感じました」

「優しさと強さを兼ね備えた警察官たれ」。今年の県警察学校入校式での訓示だ。「『地域の相談などに真摯に対応する優しいお巡りさん』と『強い刑事』が警察の2つの顔だと思っています。一人ひとりが使命感を持ち、自らを奮い立たせることが必要ですね」

香川県は、人口当たりの交通事故死者数や人身事故発生件数が、全国でワースト上位。事故防止対策は緊急を要する課題の一つだ。

「いろいろな方にお会いすると、交通事故に関する意識は高いと感じます。そのムードを大切にして、現状からの脱却を目指したいですね」

筋 伊知朗 | すじ いちろう

略歴
1963年7月21日 京都府京都市生まれ
1986年3月 東京大学経済学部卒業
1986年4月 警察庁入庁
1989年8月 大分県警察本部警備部警備第一課長
1992年8月 愛知県警察本部刑事部捜査第二課長
1996年2月 在イスラエル日本国大使館一等書記官
2002年8月 警視庁公安部公安総務課長
2010年7月 内閣官房内閣衛星情報センター
       管理部運用情報管理課長
2013年2月 香川県警察本部長

香川県警察

住所
香川県高松市番町4-1-10
代表電話番号
087-833-0110
地図
確認日
2014.11.06

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