困っている人が一人でも少なくなれば―

総務省 四国行政評価支局長 茂垣 栄一さん

Interview

2011.12.01

四国行政評価支局の業務には3つの柱がある。行政が行っている政策の有効性や必要性を点検・評価する「行政評価」、「年金記録の確認」、それに、国民の行政に対する苦情や意見・要望を聞いて改善を目指す「行政相談」だ。業務の幅は極めて広い。しかし、それらすべてが私たちの暮らしに深く関わっている。

話をしっかり聞く

「行政相談で言えば、道路に信号機をつけてほしい、ポストを置いてほしい、離婚すれば年金はどう分割されるのか・・・内容は様々で多岐にわたっています。自分の名前を変えたいけれどどうすればいいのか、っていう相談もありましたね」

四国行政評価支局の茂垣栄一さん。支局長に就任してちょうど8カ月が過ぎた。「相談に来るのはお年寄りの方が多いです。ただ話し相手を求めているだけの人もいます。『誰に相談すればいいのか分からない』、『他に問い合わせたけれど納得できない』と言って相談に来る人もいます」。もちろん、できることもあればできないこともある。でも茂垣さんは職員や相談員に繰り返し呼び掛ける。自分たちを頼ってきた人の話を「しっかり聞くように」と。

日本百名山を登る!

茂垣さんの趣味は学生時代に始めた山登り。「山頂からの眺めを見て、酒を飲んで語り明かす。ランプを灯した山小屋の雰囲気もいいですよね」

お気に入りは、四季折々の花が美しい尾瀬と、神戸の六甲山。六甲山には神戸勤務時代、2年間で30回以上も登ったそうだ。「2~3時間で登って山頂でゆっくりして、1時間くらいかけて降りると、そこに有馬温泉があるんです。もう最高ですよね」

香川に赴任し、すぐさま高松市が開設している「市民登山学校」に入校した。地図の読み方や登山計画の作り方を学ぶ月1回の座学と、月1回の山登り。〝授業〟が待ち遠しくて仕方がない。「これからの時期もいいですね。冬の山も好きなんですよ。人が少なくて、ちょっとした恐怖感もある。冒険心をくすぐられるんですよね」

茂垣さんのライフワークは〝日本百名山〟を踏破すること。槍ヶ岳、奥穂高岳、四国の剣山に・・・すでに半分程度は登り終えたそうだ。

奥が深い“エアロビクス”

「汗をかくのが好きなんですよ。家でじっとしているタイプではないですね」。茂垣さんに登山以外の趣味を尋ねたところ、ちょっと意外な答えが返ってきた。それは〝エアロビクス〟。「てっきり女性のスポーツだと思っていました。最初の頃は男性が少なくて恥ずかしかったんですが・・・やってみると楽しいんですよ」。そして茂垣さんはおもむろに立ち上がり・・・「こうやってVの字を描くのがVステップ。逆に後方で足を開くのがAステップです」。実際にステップを披露してくれた。「動く範囲も広いので、うまくやらないと隣の人にぶつかったりもします。バックステップを踏んだり、キックを出したり・・・ダンス的な要素も入っていて、決して単純じゃないですよ。奥が深いです」。実に週4日はジムに通い、1時間ほど汗を流す。そして・・・「そのあとのサウナとお風呂がまた最高なんですよね(笑)」

敷居を低くして

茂垣さんが好きな言葉がある。反戦を叫び続けたフランスのノーベル賞作家ロマン・ロランの言葉、「現代のヒロイズムは現実を直視し、かつそれを愛することだ」―

人々が抱える暮らしの悩み。それはまさに、理屈では片付けられない現実だ。茂垣さんは優しく、そして力強く、こう話した。「できるだけ敷居を低くして、話しやすい雰囲気を作って相談を聞く。これを一番に心掛けています。やはり困っている人が一人でも少なくなればうれしいですよね。お年寄りや子どもなど、弱い人たちの目線に立つこと。これが行政の究極だと思いますね」

茂垣 栄一 | もがき えいいち

略歴
1957年8月22日 茨城県水戸市生まれ
1981年3月 中央大学法学部 卒業
1982年4月 行政管理庁 入庁
1999年7月 総務庁 人事局参事官
2000年8月 総務庁 行政監察局監察官
2002年1月 厚生労働省 社会・援護局援護課長
2004年7月 総務省 統計局統計基準部統計審査官
2005年8月 総務省 兵庫行政評価事務所長
2007年7月 総務省 東京行政評価事務所長
2008年7月 総務省 関東管区行政評価局総務部長
2011年4月 総務省 四国行政評価支局長

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