「不易流行」と「笑顔モード」先人の教えを胸に―

高松国税局長 森 秀文さん

Interview

2011.09.01

今年7月に高松国税局長に着任したばかりの森 秀文さん。笑顔が印象的だ。森さんは着任後、3つのテーマを掲げた。「戦略的な事務運営」、「人財の育成」、そして「不易流行(不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず)」。「不易」とは森羅万象を司る不変の法則。いつまでも変わらないこと。「流行」とはそれぞれの状況に応じて変化すること。松尾芭蕉が残した言葉だ。

3つのテーマを掲げて

「高松国税局はこれまで考えてきたことが実践できる場所、様々なことにチャレンジできる規模の局だと思うんです。原理原則を守りながらも、その時々の状況によって変えるべきところは変えていく。納税者が公平感を実感できるよう、国民目線で仕事をやっていこうと思っています」

20年来のテニス仲間

森さんはこれまで国税庁や東京国税局勤務が長く、ずっと関東暮らしだった。そして毎週土曜日はラケットを片手に奥さんと一緒にテニスコートへ。4夫婦8人が集まり、約2時間汗を流す。お子さんが小学生の時、同級生のご両親と、いわゆる「子どもつながり」で始めたテニスだ。「最初はお母さん同士で集まっていたんですけど・・・私たちも引っ張り込まれたんですよ」。笑いながらこう話すが、その週末テニス、実に20年も続いている。「純粋に楽しいからですよ。勝ち負けには一切こだわらないですし」。そしてもうひとつ─

「テニスの後の小一時間のティータイム。これがまた楽しいんですよね。みんな同世代ですが職業はバラバラ。話すのは、今では年金の話とか、老後はどうするの?とか・・・20年間、誰ひとり欠けることがなかった。やはり、みんなが健康でいられたことが何よりですね」。しかし今回の転勤で、毎週、というわけにはいかなくなった。

「さみしいですけど、この週末は自宅に戻ってテニスをしてきます。もちろんこれからも続けていきますよ」。いつまでも変わることのない大切な仲間だ。

気づかされた「感謝」

高松赴任とともに始まったのが単身赴任。初めての経験だ。「この前、電子レンジでチンしようとしたんですが、どこを押しても動かないんです。解凍?あたため?おかしいなぁと悩んでいたら・・・コンセントが入っていませんでした(笑)」。料理をするのは以前から好きだったと話す森さんだが・・・「最近、あまり料理する気にならないんですよ・・・料理って『食べてくれる人がいる』から料理なんですよね」。いつもそばにいた家族。奥さんの手料理。全てが当たり前の光景だった。「当たり前が当たり前でなくなったとき、『感謝』ってことをものすごく感じますよね。一人暮らしをするといろいろなことに気づかされます」

いつも「笑顔モード」で

森さんの趣味は読書。ビジネス書、小説・・・ジャンルは問わず、月に3~4冊を読む。そして、常に今の自分に置き換えてみる。リストラをせずに財政を建て直した江戸時代の米沢藩主・上杉鷹山の言葉。「受け継ぎて国の司の身となれば忘るまじきは民の父母」─役人は、父母が我が子に接するのと同じ気持ちで納税者に接しなさい─。そして、D・カーネギーの「人を動かす」から学んだのは『常に笑顔を忘れない』こと─

「笑顔でいると悪いことが起きない。もし起きたとしても、うまい具合に解決するんです。私はいつも部屋に入る前に『笑顔モード、スイッチオン!』って言うんです。そうすることで自然と『おはよう』って明るいあいさつができるんですよね」。そして森さんは素敵な笑顔で最後にこう加えた。「苦しい時ほど笑顔でいたいですよね。私自身これまで、いい人に出会い、いい仕事に巡りあえてきたのは、笑顔でいたことが繋がっているのかなって思うんですよね」

森 秀文 | もり ひでふみ

略歴
1953年1月18日 山梨県南巨摩郡南部町生まれ
1971年3月 山梨県立身延高校卒業
1971年4月 東京国税局 採用
2001年7月 千葉・茂原税務署長
2003年7月 東京国税局 調査第一部 特別国税調査官
2005年7月 東京国税局 調査第四部 統括国税調査官
2006年7月 東京国税局 総務部 企画課長
2007年7月 東京国税局 課税第一部 審理課長
2008年7月 東京国税局 課税第二部 法人課税課長
2009年7月 国税庁 課税部 法人課税課長
2011年7月 高松国税局長

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