オンとオフが行き来する日常を楽しむ

四国経済産業局総務企画部長 小森 繁さん

Interview

2010.11.04

今年8月、四国経済産業局総務企画部長に着任した小森繁さんの趣味の一つに、まち歩きがある。仕事柄、まちの表情は気になるという。「休日でもそうですが、出張のときもまちをくるくると歩きまわるんです。何かおもしろいものはないかなあって」。

それぞれのまちの「おもしろさ」を探しに

最近では、高松市内の仏生山町が印象に残っているという。高松松平藩の菩提寺・法然寺の門前に開かれた仏生山界隈は、古いまち並みを生かしたまちおこしも進行中だ。そのなかで小森さんが気に入ったのは、1軒のたばこ屋さんだ。「たばこのほかに、絵はがきや雑貨なども扱っている小さな店なんですが、店のおばちゃんと話をするとなぜか初めて会った気がしないんですよ。まちのことを話していても、おばちゃんは達観した感じで、けっして冷たいというのではないのですが、いい感じの間合い、距離感があって、好感を持ちました」

牟礼の「石あかりロード2010」でも、商店街でやっているのではという予想に反し、民家や工房の軒先のようなところにも作品を展示しまちぐるみであることに驚いたり、瀬戸内国際芸術祭2010で訪れた女木島や男木島では、話しかけてきたおじいさんと話し込んだりしたという。「普通に生きて、普通に暮らしている日常のなかに、そのまちの魅力は生きてくるのですね。観光客に変に媚びていないところがいいと思いました。地域おこしはその加減が難しい。完成品を提供するだけでは、買い手はだんだん飽きてしまう。多少不完全なところがある方が、ゲストと一緒に作り上げて行く雰囲気が生まれていいのかも」と小森さん。「暮らしている人と訪れた人が混在して立ち話するようなまちが、おもしろいと思いますね」

今、小森さんが執務する部屋のテーブルの一つには、四国各地のお菓子などが並ぶ。「四国を勉強しようと思っているんです。これもそのひとつ。こうして並べると、案外と地元の人も知らないものもあるんです。試食も可能ですよ(笑)」。お菓子が仲立ちとなり、来客者と様々な話題が展開していくようだ。

ライフスタイルも披露した「エコウエディング」

環境省の出身であり、小森さんはエコに対しても敏感だ。自身の結婚披露宴では、再使用、削減、リサイクル、修理の4項目を尊重した「エコウエディング」にした。「自分たちの手作り感覚で周囲の人や自然と対話しながら楽しくやるのがエコと思います」。出席者の招待状は電子メールで紙の無駄をなくしたり、植物素材の衣装を着用したり、料理は地元産の季節の有機野菜にして、食べ残しを少なくするためにビュッフェスタイルにした。参加者の会場までの交通手段でCO2排出量を計算し、ブラジルのバイオマス発電支援によるCO2削減量で相殺するカーボンオフセットを実施。「ケーキカットの代わりに、桃の木の植樹も印象的でしたね」。自分でやってみる、季節感を大切にしてみる、そんなところからもエコには取り組めるのだ。

最近は雑誌付録のスピーカーユニットを使ってステレオを作成中。結婚式の新郎新婦のテーブルで、花器に使用した竹を再利用して一応完成をしたが、小森さんは少々不満とか。夫婦そろってファンである小林研一郎さんが指揮するオーケストラの響きをもっと楽しみたいのが理由の一つという。「素材が竹なので、重厚な低音の響きに弱いのかも。何かいいものはないですか?」。スピーカーの箱を四国の特産で作りたいのだという。小森さんの四国各地のまち歩き、まだまだ続きそうだ。

小森 繁 | こもり しげる

略歴
1967年 9月17日 東京都生まれ
     早稲田大学 政治経済学部政治学科 卒業
1992年 4月 環境庁入庁
2002年 4月 北九州市環境局環境保全部
      環境国際協力室長
2004年 4月 環境省 大臣官房政策評価広報課長補佐
2008年 7月 環境省 水・大気環境局総務課長補佐
2009年 7月 環境省 地球環境局地球温暖化対策課長補佐
2010年 8月 四国経済産業局総務企画部長

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