
自我の目覚めとアメフトとの関係

当時の練習は精神論一色。俊足の齋藤さんにも、ラン練習はきつかった。「うさぎ跳びは普通にするし、水は飲ましてくれない。今から思えば、前時代的な根性の世界でしたね」。先輩からの厳しい練習に耐えられず、35人いた新入部員は1学期末には半分に。その後、合宿中に夜逃げ、合宿終了時にまた退部者が出て、10人に減った。人数が少なくなると、自然と1人あたりの練習量は増える。「僕も本当に辞めたかったけど、自分が辞めたら残った仲間の練習がきつくなると思うと、言えなかった」
高校時代はアメフトの根性練習で明け暮れた齋藤さん、「今度は人なみに青春を謳歌したい」と入学した大学だったが、1年浪人したアメフト部の先輩も合格していた。入学式後、鉄道旅行同好会の入会手続きをしたその日の夜に、「一緒だぞ、またやるぞと先輩の電話がありまして。ただ、おまえは足が速いからランニングバックだ、の一言に気持ちが変わったのも事実なんですが」。そしてアメフト一色の大学生活が始まった。
具体的な目標を立てて、努力すること

当時、序列では関東学生の上から2番目のリーグでプレーしていた齋藤さんの大学。そこには強豪の私立大も多く、2勝5敗という成績が毎年続いていた。「僕たちが卒業した翌年から、2部制に変わることになったんです。ぜひ1部所属を決めて後輩に引き継ぎたい。そのためにはあと2勝は必要だということになりました」。狙いをリーグの中の2つの大学に絞り、そこに勝つために何をしたらよいのかを分析、策を練って練習に1年かけた。個々の体力差などもあり、残念ながら2大学には僅差で負けたが、「悔しさはありましたがそれなりの成果は出せた。僕自身、試合の内容には満足できるものもありました」と当時を振り返る。
とことんやったという事実と自信
振り返ると、アメリカンフットボールにかけた時間は、自分の大切な宝物になっていることに気づくという。何かに熱中したことの成就感、爽快感かもしれない。「今でも大学時代の連中とは正月に必ず集まるんですよ。海外に赴任していても必ず帰ってくる。当時を思いだし、大いに盛り上がります」。そんな集まりでよく話題になるのが、大学時代からやり直せるならどうするかということ。齋藤さんはどう答えているのだろう。
「もう一度アメフトをやるかもしれないよ。でも、アメフトをやるかも知れないけれど、ちゃんと勉強もしようと言うんですよ(笑)」
齋藤 真輔 | さいとう しんすけ
- 略歴
- 1958年 5月 福岡県生まれ
1981年 3月 横浜国立大学経営学部経営学科卒業
1981年 4月 三菱電機株式会社入社
(伊丹製作所配属)
1996年 6月 本社社会システム事業本部
交通事業部交通部都市交通第一課長
2002年10月 本社社会システム事業本部
交通事業部交通部次長
2003年12月 本社社会システム事業本部
交通事業部交通部長
2008年 4月 中部支社副支社長
2009年 4月 四国支社支社長に就任
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