讃岐のソラマメ

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2019.04.18

押し抜き寿司

押し抜き寿司

4月も下旬に差し掛かり、備讃瀬戸でのサワラ漁が始まりました。また、野菜では豆類の出荷が始まり、5月になると店頭にはソラマメがあふれます。香川県を代表する野菜として、アスパラガスやブロッコリー、マンバ(高菜)などがあげられますが、ソラマメを外すことはできません。

現在の香川県におけるソラマメの栽培面積は89haなのですが、過去のデータを調べていくと、昭和9年には1,888haであったと報告されています。これは、当時の香川県の稲作面積の5%に当たるのですが、現在の香川県におけるブロッコリー栽培面積の1,070haをはるかに凌駕する面積です。

また、日本全国でのソラマメの栽培面積が1,980haであることからも、当時、香川県内において、ものすごい量のソラマメが栽培されていたことが分かります。

そのため、香川県にはソラマメにまつわる食文化が多数残っています。出回り始めた新豆(熟していない緑色のソラマメ)は、塩茹でし讃岐の春を代表する「押し抜き寿司」の彩りとして使われています。

熟して硬くなった乾燥豆は、日常的な食材として大切に保管され、炒り豆だけでなく、味噌や醤油、ソラマメ餡を使った餡餅、ソラマメご飯など様々な料理に使われてきました。
中でも、讃岐の郷土料理の代表格である「しょうゆ豆」は、炒った豆をしょうゆに漬け込み、とても手が込んでいます。身近な食材を飽きずに食べ続けるという工夫の名残だと言えます。

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