「食べること」の進化史 培養肉・昆虫食・3Dフードプリンタ

著 石川伸一/光文社

column

2019.06.06

いま世界は大きく変化しています。科学技術はもちろん、社会や経済を含め人の生活に関わるあらゆるものが劇的に変化している、と言っても大きな間違いはないでしょう。それはこの本に書かれている「食」の世界も同じです。このまま行くと、いったい100年後の人たちは何を食べているのでしょうか。

私たちの祖先ホモ・サピエンスは25種類いたといわれるヒト属のうち、唯一生き残った種族ですが、その大きな理由は雑食性になったことだと言われています。食料の少ない環境下でも生き残れた雑食性は、同時に「今日、なに食べようか」と考えることを宿命づけられました。そして世界の各地で多様な食文化が作られていきました。しかし19世紀に進みはじめた食の工業化や輸送技術の進歩によって、まず欧米人の食生活が変化し、20世紀になると激変します。

その変化は一方で世界の食生活の均質化を進め、伝統的な食生活の衰退を招いています。タタール人の馬肉料理が起源ともいわれるハンバーガーが、アメリカを経由してグローバル化し、それが世界各地でローカル化するという現象も起こしています。人工培養肉や3Dフードプリンタ、分子調理、完全食のソイレント等の技術の変革がどのような世界を作っていくのでしょうか。

3Dフードプリンタというものは、たとえば寿司職人が握った寿司のデータを宇宙に送ると、宇宙船内の3Dフードプリンタが寿司に変換し、宇宙飛行士がその寿司を食べられるというものです。ドラえもんの話みたいですが、もうあながち夢物語と言えないことになっているようです。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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