IT導入と働き方改革

四国経済産業局長 吉川雅之

column

2019.06.06

令和という新たな時代を迎えましたが、改めて平成の30年間を振り返ると、四国全体としては、人口が約1割減少し、高齢化は進んでいますが、3つの本州四国連絡橋や高速道路の整備などにより、人やモノの移動時間が大幅に短縮され、産業や観光では地域経済は活性化されました。

特に最近ではインバウンド需要も大幅に増加し、リピーターや長期滞在などのケースも多く、瀬戸内の海や島々、遍路道の歴史と豊かな自然環境、お城、温泉、秘境、阿波踊りや讃岐うどんなど、多くの魅力を持った地域であるといえます。

このように魅力ある四国をしっかり地域の皆さんが支えていく必要がありますが、人手不足の中で小売や飲食業などのサービス業でも、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を活用して業務を効率化させ、働き方改革を行うケースが増えています。

例えば先日、高松で「IoT・AI~第4次産業革命への挑戦~」というテーマで産学官連携シンポジウムを開催しましたが、その中で、伊勢神宮の参道で商店や和食堂・屋台などの商業施設を営む創業100年の老舗「有限会社ゑびや」の若旦那が、2012年からわずか4年でIoT・AI機器の導入などで生産性を飛躍的に向上させ、従業員数をそのままに、売上を4倍、経常利益を10倍に膨らませた上に、社員の働き方改革も推進し、完全週休2日制と残業なしなどを実現した話をお聞きしました。

最初は信じられませんでしたが、「ゑびや」の若旦那が自らIoT・AI機器を活用し、「店舗経営の見える化」「来客予測」「ipadによる会議」「画像解析AIの活用」「集計はレジシメもなく自動」などを行った話を伺い納得しました。また「ゑびや」さんは、同じように中小の小売・飲食業の皆さんが生産性の高い店舗になるよう支援事業も行っているとのことでした。

国においても、中小企業・小規模事業者の皆様の生産性向上を実現するため、「IT導入補助金」により業務の効率化・売上のアップといった経営力の向上・強化を図るためのITツール導入を支援しております。「IT導入」→「働き方改革」→「人手不足解消」の好循環となるよう、ご活用いただければ幸いです。

吉川 雅之 | よしかわ まさゆき

1961年 東京都生まれ
1985年 日本大学法学部 卒業
    通商産業省 入省
    資源エネルギー庁総務課
1991年 英国留学(EJEF)
2005年 千葉県市原市理事(経済担当)
2009年 産業技術環境局知的基盤課計量行政室長
2011年 新エネルギー・産業技術総合開発機構 人事部長
2013年 大臣官房秘書課人事審査官
2017年 特許庁総務部会計課長
2018年 四国経済産業局長

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