開示人数570人で過去最多

役員報酬1億円以上開示企業調査 東京商工リサーチ

Research

2019.08.15

上場企業の2019年3月期決算で1億円以上の役員報酬の開示は280社、人数は570人だった。社数は前年同期を40社(前年同期240社)、人数は32人(同538人)それぞれ上回った。この結果、17年3月期から3年連続で社数・人数の最多記録を更新した。

18年3月期から2年連続で登場した役員は404人。このうち、役員報酬が増えたのは238人(構成比58.9%)で約6割を占めた。初登場は166人だった。

※本調査は、全証券取引所の上場企業2,411社を対象に、19年3月期の有価証券報告書で役員報酬1億円以上を個別開示した企業を集計した。上場区分は19年7月10日現在。

トップは32億6,600万円

役員報酬の最高額は、ソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長の32億6,600万円で、前年同期(20億1,500万円)の1.6倍に増加した。報酬内訳は、基本報酬が3億3,900万円だが、株式報酬29億2,400万円(未確定分を含む)により報酬額を押し上げた。2位は新日本建設の金綱一男会長で、3位はソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ副社長COO。

製造業が148社で最多

業種別では、社数は製造業が148社(構成比52.8%、前年同期131社)で最多。次いで、運輸・情報通信業27社(同9.6%、同21社)、卸売業24社(同8.5%、同20社)の順。

開示人数も製造業が318人(同55.7%、同305人)で最も多かった。以下、卸売業52人(同9.1%、同43人)、運輸・情報通信業51人(同8.9%、同36人)と続く。

最多は6年連続で三菱電機

個別開示した280社のうち、最多は三菱電機の21人(前年同期22人)。14年3月期から6年連続(18→23→23→22→22→21人)で開示人数のトップを守っている。2位は日立製作所で、3位はファナックだった。
役員報酬の個別開示制度について、当初は「個人情報」を盾に反対論も多かった。だが、同業他社との役員報酬額の比較が可能になると同時に、株主や従業員などステークホルダーへの説明責任や報酬額の基準も明確化で評価もされるようになった。

18年11月に日産自動車のカルロス ゴーン元会長が有価証券報告書への報酬額の過少記載などで東京地検に逮捕され、役員報酬開示への信頼性が損なわれる事件が発生。コーポレートガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)に対する意識、役員報酬の決め方や報酬額の妥当性、企業のステークホルダーへの説明責任などはより高まっており、そして何より、厳正な運用もまた求められている。

東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸

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