人間にはもともと、体内に入ったウイルスや細菌から体を守る免疫力がある。その中心的な役割を果たす食細胞(=マクロファージ)を活性化させる物質が、小麦粉から発見された。その後の研究で物質が植物に共生する菌の一種である「LPS」だと分かり、多くの研究者によってその機能が解明されてきた。
「その成果を土台として、LPSの有用性をどう生かすか、大量生産するには…といったことを研究してきました」と研究開発本部長・稲川裕之さんはいう。もともと医薬従事者の間では、注射剤の中にLPSがあると「炎症を起こす」とされてきた。しかし、注射ではなく食べ物のように口から摂取したり皮膚にぬったりすれば炎症を鎮め、健康維持に有効だということを証明し、その最適な用量を検証。お酒の醸造技術を応用して、大量に培養することに成功した。
コスト面と安全性をクリアし、現在ではサプリメントや化粧品などの素材として自然免疫応用技研(株)が販売している。「機能をひと言でいうと“自然治癒力を助ける”ということでしょうか」。LPSは植物や土の中などにも含まれていて、自然に近い生活をしていた昔は食べ物や生活の中で知らないうちに摂取できていたが、現代は過度な殺菌・除菌などにより、“LPSが足りない”環境になっているという。「そういった環境の変化や生活習慣病が増えていることも、研究の背景にあります」と稲川さん。
現在は、認知症予防へのLPSの活用について研究を進めている。
TEL.087-813-9201
自然免疫制御技術研究組合
- 住所
- 香川県高松市林町2217-16
- 代表電話番号
- 087-813-9201
- 設立
- 2009年
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