染め物だけでなく美容や芸術にも

藍染めの原料・タデアイを生かした商品開発 藍色工房

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2017.11.02

こんなに用途が広がるとは思ってもみませんでした」。藍の研究と商品開発を行う有限会社藍色工房の代表取締役・坂東未来さんは、こう話す。

坂東さんは夫の肌荒れを直したい一心で、石けんを手作りしていた。たまたま目にした薬草図鑑に藍が虫刺されや傷に効く薬草として紹介されていたこと、徳島にある実家が藍農家だったことが、「藍染め石けん」開発のきっかけになった。

タデアイの葉から抽出したエキスを練りこんだ藍染め石けんは、夫だけでなく知人にも喜ばれた。2005年に藍色工房を設立し、商品として販売を開始した。

「藍が抗菌成分の『トリプタントリン』を含有していることは実証されていますが、解毒や解熱、消炎などの効能は民間伝承の域を出ていません。現在、研究機関と一つ一つ検証しているところです」

藍色工房ではタデアイを2種類の粉末にも加工している。一つは、摘み取ってすぐに専用の機械で乾燥させた葉の粉末。葉の粉末はヘアーコンディショナーの原料として使う。

もう一つは、摘み取ったタデアイを水につけ込んで、上澄みを捨てながら色素を濃縮した「藍粉末」だ。米国の化粧品ブランドTATCHA(タッチャ)社からオファーがあり、14年に同社から藍粉末配合のハンドクリームなどが販売された。

藍粉末の用途は美容分野だけにとどまらない。墨職人の協力で、江戸時代に浮世絵の顔料として使われていたという「藍墨」を復刻。藍墨を使えば、藍色の書や水墨画をしたためることができる。

タデアイは1年生植物のため、毎年種まきをして栽培する。収穫できるのは夏だけで、藍色工房が使う1年分の商品の原料は夏場に作ってしまう。天候の影響を受けて十分な収穫量を確保できない恐れもあるため、安定生産を目指して水耕栽培にも挑戦している。

2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムが藍色の市松模様に決まってから、問い合わせが一段と増えた。「藍色が注目されている今、効能が実証できれば藍の用途はさらに広がります。世界に打って出られる素材ではと期待しています」

お問い合わせ:TEL.0120・116・516
HP:http://aiironet.com/

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