通説では、「吉備児島」はかつて島だった岡山県の児島半島を指し、「小豆島」は文字通り小豆島を指しています。ちなみに小豆島の星ヶ城には阿豆枳(あずき)神社が鎮座しています。そして、「大島」は周防大島ともいう山口県の屋代(やしろ)島を指し、「女島」は大分県の国東半島沖の姫島、「知訶島」は長崎県の五島列島、「両児島」は五島列島よりさらに西の沖にある男女群島を指しています。
しかし、6つの島のうち2つが備讃瀬戸にあるにもかかわらず4つが突然遠く離れた島になるのは不自然ではないか、6つの島はすべて備讃瀬戸の島々ではないかという説が香川にはあります。それによると、「大島」は庵治沖の大島であり、「女島」はかつて大姫(おぎ)島・姪姫(めぎ)島と表記されていた男木島・女木島、「知訶島」は値嘉島とも表記されていたことから値が直となった直島、「両児島」は双子の島ということから五色台沖の大槌島・小槌島である、というものです。
備讃瀬戸には、海幸・山幸、豊玉姫(とよたまひめ)・玉依姫(たまよりひめ)の神話も残っており、この説も全く荒唐無稽な考えであると一蹴することはできないような気がします。瀬戸内国際芸術祭は、国生み神話につつまれた古代日本の原風景をバックボーンにしているといえるかもしれません。
歴史ライター 村井 眞明さん
- 多度津町出身。丸亀高校、京都大学卒業後、香川県庁へ入庁。都市計画や観光振興などに携わり、観光交流局長を務めた。
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歴史ライター 村井 眞明さん
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